1980年代の音楽は、ロマンティックな風景が見えてくる。 ──ナイト・...

1980年代の音楽は、ロマンティックな風景が見えてくる。 ──ナイト・テンポが語る、大滝詠一の世代を超えた影響力。

文:松永尚久

大滝詠一の流れを汲む日本の若い世代の音楽はシティポップと呼ばれ、いまや国境を越えて支持されている。ブームの中心にいるナイト・テンポと原田夏樹に、その影響力について訊いた。

ナイト・テンポ●1986年、韓国ソウル生まれ。80年代の日本のポップスを中心に再構築し、フューチャー・ファンクというジャンルを生んだプロデューサー兼DJ。現在のシティポップ・ブームの火付け役と言われる。2019年にフジロックフェスティバルに出演。今年2月には「松原みき - Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ」をリリースした。

幼い頃になにげなく耳にした音楽のひとつに日本の1980年代ポップスがあり、自然にその世界の虜になってしまったというナイト・テンポ。

「この時代の音楽は、人々の暮らしが豊かだった雰囲気が伝わってくるというか、ロマンティックな風景が見えてくるんですよね。現代では、限られた空間で限られた人のためにつくられている楽曲が多い印象がします。けれど、あの頃の音楽はみんなで楽しめる雰囲気がある。それにも心を奪われてしまいます」

大滝サウンドも、80年代の音楽を追求していく中で、魅力を知るようになったと語る。

「松田聖子さんをはじめとした提供曲をきっかけに僕は知ったのですが、炭酸水のようなシュワっとした印象のサウンドが魅力的ですよね」

【ナイト・テンポが選ぶ大滝以降のシティポップ的ディスク】『タッチ・アンド・ゴー』(1986年)は、シンガー・ソングライター、角松敏生の6枚目のアルバム。「自分が思う1980年代の集大成的なアルバム。ディスコ、シティポップなど、あの当時に流れていた音楽の『お手本』みたいな。だからいま聴いてもフレッシュというか、洗練さが失われていません」

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