キビシの3人がハウをつくる過程でインスピレーションを得たものに、デンマーク北西部のコールド・ハワイと呼ばれるコミュニティがある。北欧有数のサーフスポットだが、その名の通り温暖な場所ではない。都会に住む人も、ここでは波とひとつになり、ありのままの自分に還っていく。海で冷えた身体を温めてくれるのは、仲間たちと囲む食事だ。シンプルゆえに本質的なライフスタイルは、現代における真のラグジュアリーと言えるのではないだろうか。ハウは、そんなシーンにふさわしいテーブルウェアとして発想された。
一連の器に用いられたグレイッシュなブルーは、まさに北欧の海の色そのものだ。職人が2種類の釉薬を吹き付け、焼成の過程で釉薬が混じり合い、独特の色彩をつくり出していく。波打つ海面にも、魚の鱗のようにも見えるレリーフは、1892年に発表された歴史的コレクション「シーガル」のパターンを参照した。
今年、ハウに新しく加わったジャグに象徴される、自然の造形を思わせるフォルムも印象深い。このジャグは、以前からラインアップされていたカラフェを小ぶりにしたような形をしている。カラフェは、海面から飛び立つ白鳥の胸をイメージして、首元から徐々に色が薄くなるグラデーションを施していた。新作のジャグはそれとは逆に、底から上に向かってのグラデーションが美しい。ダークブルーの水面に降り立つ白鳥を連想せずにはいられない。
またプレートには、いままでよりもひと回り小さく、使い勝手に優れた直径17㎝のタイプが加わった。既存のプレートと重ねると、まるで波紋のようなパターンが生まれる。ジャグやカラフェと組み合わせることで、テーブルの上に静かなストーリーが展開していく。
これまでのロイヤル コペンハーゲンの世界観を一新する、ハウがつくり出す澄みきった風景。ただしブランドに受け継がれるクオリティと気高さに、妥協はない。これは豊かな伝統から生まれた現代の器なのだ。