当時の“シティポップ”は、人間の鳴らす楽器だけで高い完成度を実現した。...

当時の“シティポップ”は、人間の鳴らす楽器だけで高い完成度を実現した。 ──原田夏樹が語る、大滝詠一の世代を超えた影響力。

文:松永尚久

原田夏樹●1993年、茨城県生まれ。evening cinemaのフロントマン。2015年より活動開始。また昨年、作詞作曲を担当したcinnamonsとのコラボ曲「summertime」がTikTok流行語大賞2020ミュージック部門賞受賞。今年1月にはシングル「永遠について」を発表した。アジア圏でも評価が高く、日本の音楽の魅力を多方向で発信する。

哲学的でありながらも日本人の琴線に触れる言葉や旋律を感じるサウンドで話題を呼んでいる、evening cinema。その中心人物である原田夏樹は、大滝詠一を筆頭にした日本のシティポップに多大な影響を受けて楽曲を制作しているという。

「僕の音楽原体験は、ザ・ビートルズなどの洋楽だったので、日本の音楽には少し距離を置いていたんです。でもある時、両親の影響で山下達郎さんなどを耳にするようになると、日本のポップスは洋楽を折衷させてオリジナルなものをつくり出していることに気づき、そこから聴くようになりました」

【原田夏樹が選ぶ大滝以降のシティポップ的ディスク】『LAST BEST~豊作参舞~』(2017年)は、米米クラブにとって2006年の再結成以来初の新曲入りベストアルバム。「彼らをシティポップという文脈で語る人は少ないと思いますが、個人的に1990年代以降の楽曲からは大滝さん作品のようなサウンドの詰め込み方をされていて、継承者的存在だと思います」

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