フランソワ・オゾンの新作『彼は秘密の女ともだち』で考える、愛情と友情と...

フランソワ・オゾンの新作『彼は秘密の女ともだち』で考える、愛情と友情と性のボーダーライン

7歳の時に出会って以来、互いに結婚してからも親密な付き合いをしていたクレール(アナイス・ドゥムースティエ)とローラ(イジルド・ル・ベスコ)。クレールは華やかなローラに対して恋愛感情にも似たもの抱いていましたが、その大親友を病で失ってしまいます。悲しみに暮れていたクレールですが、残された夫ダヴィッド(ロマン・デュリス)と生後数カ月の娘リュシーを見舞うため、2人のもとを訪れます。そこでクレールが見たのは、ローラのドレスを纏いながら愛娘にミルクを与えるダヴィッドの姿でした。

女装願望はローラも知っていたのだとダヴィッドに打ち明けられるものの、大いに戸惑うクレール。でも、「これが本当の自分」と言うダヴィッドは、生き生きと輝き始めます。そんなダヴィッドを“ヴィルジニア”と名付けたクレールは、夫のジル(ラファエル・ペルソナ)には内緒で会い始めることに。ローラに代わる“女友達”と過ごす時間に、クレールは楽しさを覚え始めるのですが……。

フランソワ・オゾン監督の新作は、戸惑いや葛藤、悦びや気付きが渦巻くスリリングなドラマです。笑いも交えつつ、めまぐるしく変化する主人公たちの関係性を丁寧に描いてきます。先の読めない展開に釘付けになりつつ、性差のこと、友情と愛情のことについても思案することになります。眼差しで喜怒哀楽を表現したロマン・デュリスが本当に素晴らしい!

本作を観る方にお薦めしたいのが、劇場で販売されるパンフレットの購入です。フランソワ・オゾン監督、主演のアナイス・ドゥムースティエとロマン・デュリスという3人それぞれのインタビューが掲載されているのですが、その内容がとても濃いんです。ストーリーはどこから着想を得たかに始まり、監督と役者たちの知的なアプローチがとても詳細に語られていて読み応えがあります。映画の鑑賞体験を、さらに増幅させてくれること請け合いです。(Pen編集部)

©2014 MANDARIN CINEMA - MARS FILM - FRANCE 2 CINEMA - FOZ

    上段写真:大親友のローラを失ったクレール(右)は、“ヴィルジニア”という新たな女友達を得ます。
    下段写真、上:クレールに扮するのは、期待の若手女優アナイス・ドゥムースティエ。
    下段写真、下:この映画の成功は、ロマン・デュリスの存在あってこそ。ラファエル・ペルソナがダヴィッド/ヴィルジニアを演じる可能性があったという話には驚いてしまいます。

『彼は秘密の女ともだち』

監督・脚本/フランソワ・オゾン
出演/アナイス・ドゥムースティエ、ロマン・デュリス、ラファエル・ペルソナ、イジルド・ル・ベスコ
2014年 フランス映画 1時間47分 配給/キノフィルムズ
8月8日よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほかにて公開。
http://girlfriend-cinema.com

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