水との戦いの歴史を刻むシェルター、 「水屋・水塚—水防の知恵と住まい—展」開催中。
人の背を超すほど、高く積み上げられた石垣や盛り土を「水塚」、その上に建てられた蔵を「水屋」といいます。かつて頻繁に洪水に見舞われた地域では、こうした水防建築が身を守る避難場所として建てられ、独特な景観をつくっています。水防建築の写真を中心に、川とともに生きてきた日本人の住まい方の知恵を紹介する「水屋・水塚—水防の知恵と住まいー展」が11月26日(土)まで、東京のLIXILギャラリーで開催中です。
中部の木曽三川、関東の利根川や荒川、四国の吉野川流域など、全国の主な洪水常襲地域にみられる10種類の河川伝統技術にクローズアップ。写真家・大西成明氏による撮り下ろし写真を中心に、それぞれの河川流域や技術の特徴などの解説を添えて紹介。現代、川への意識が薄れてきている中、水防建築はその数を減らしていますが、現存する建物は水害の記憶を刻む生き証人として美しくその姿を留めています。温暖化がもたらす異常気象による堤防の決壊など、現代においても予想不可能な水害を目にする機会も多くなりました。水防建築は果たして、建築遺産なのか。そこには現代人が洪水から身を守るためのヒントであり、先人からのメッセージが込められているように思えてなりません。(阿部博子)
「水屋・水塚—水防の知恵と住まいー展」
2016年9月8日(土)~11月26日(土)
LIXILギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18東京建物京橋ビルLIXIL:GINZA2F
TEL:03-5250-6530
開催時間:10時~18時
休館日:水曜日
入場無料
http://www1.lixil.co.jp/gallery/