「絵を読むこと」。それが絵本なんです。絵本作家・五味太郎の“頭の中”を...

「絵を読むこと」。それが絵本なんです。絵本作家・五味太郎の“頭の中”をのぞいてみました。

五味さんのアトリエは整然と文具や本が並んで、とても静かな空間です。

『みんなうんち』『きんぎょがにげた』『さる・るるる』。

子どもの頃に一度は読んだことがある人も多いのではないでしょうか。いままでに出版した絵本は実に400冊近く!  国民的絵本作家、五味太郎さんがこれまで40年以上の仕事を振り返り、初めてまとめた『五味太郎 絵本図録』(青幻舎)が刊行されました。

エポックメイキングとなった選りすぐりの50冊について、創作の秘密を解き明かしています。ほかにも、吉本ばなな、Bose(スチャダラパー)など、縁のある27人からのメッセージや特別描き下ろしを収録し、アトリエの写真も公開した贅沢な内容に。本書を読むと、改めて五味太郎の絵本が読みたくなる、おとなが楽しめるつくりになっています。

五味さんは、それまでの物語に挿絵のついた絵本のつくり方とは違う、絵によって話が展開する手法を生み出した、絵本界のパイオニア。「チルドレンブック」を「ピクチャーブック」に変えた人ともいわれています。

どうしてそんなことができたのでしょう。『絵本図録』の50冊の作品解説を読むと、五味さんは本というメディアについて、絵本という形式について考えをめぐらし、常に新しい試みを続けてきたことがわかります。たとえば名作「きんぎょがにげた」はストーリーではなく、「流れていく風景のようなもの」を描いたもの。一音で絵本が成り立つか、という実験をした「りりりりり」「んんんんん」のシリーズなど。

今回、作品集の刊行を機に、東京・青山にある五味さんのアトリエを訪れました。アトリエはきれいに整えられ、独特の洒脱な色遣いが印象的。話し上手で自由自在な五味さんにインタビューしました。

絵具や筆、鉛筆もきれいに並んでいます。

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