来たれ、未来のイノベーター! 東京に上陸した欧州最大のイノベーション・フェス「TOA」をご存じですか?
今年2月、代官山でテクノロジー界のイノベーターたちが集うイベントが開催されました。ドイツ・ベルリンで生まれたヨーロッパ最大のイノベーション・フェス「Tech Open Air (通称TOA)」のワールド・ツアーが、東京にやってきたのです。
イノベーション・フェスと聞いて最初に思い浮かべるのは、アメリカ・テキサス州で開かれる「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」でしょうか。音楽フェスとしてはじまり、そのコンテンツを映画やインタラクティブメディアへと拡張していった同イベントは現在、大手企業やIT系スタートアップ、ベンチャーが集う場へと成長。日本からの出展企業・出展者も増えているといいます。そのヨーロッパ版とも言えるTOAは、2012年にクラウドファンディングの資金調達で立ち上がったスタートアップ企業と起業家、投資家らの出会いの場です。
とはいえ堅苦しいビジネスの場ではなく、広大なオープンエアでバンド演奏や食事とともに最新のテクノロジーとアートに触れることができるフェスティバルであることが特徴。ベルリン市街で約200ものサテライト・イベントを同時開催し、イノベーティブをキーワードに世界中から人々が集うといいます。そんな彼らは2019年に東京で本格的な開催を検討しており、まずはスピンオフ・イベントが東京で行われたのです。
会場ではまず、TOAの創設者・ニコラス・ヴォイシュニックさんが現在のベルリンがもつ魅力について基調講演を行いました。
「ベルリンは音楽やアート、テクノロジーなどさまざまな分野からクリエイティブな人々が集う街になりました。人口約320万人のうちおよそ50万人が外国人と移住者も多く、スタートアップへの投資額も他国に比べて年々成長傾向にあります」
彼らが大切にしているのは、「学び」「ネットワーク」「インスピレーション」という3つの要素です。会期中もちろん商談も行われますが、TOAが指向するのはコミュニティーの育成。テクノロジー、音楽、芸術、科学などさまざまな領域を進化させるための「技術」に着目しているといいます。さまざまな領域で再編がすすむいま、さまざまな人々を結びつけることで、次代のクリエイティブを刺激したいとヴォイシュニックさんは言います。
基調講演後は各界で活躍するクリエイターたちが登壇し、ベルリンの雰囲気を東京に持ち込みました。最初の登壇者は、いまや1800万人のユーザーを抱える写真共有アプリ「EyeEm(アイエム)」のゲン・サダカネさん。ユーザー間で写真の売買ができるこのアプリが、いかにして人々の心を掴み、巨大な情報のプラットフォームとして進化していったのかを講演。また会場で何度も話題にあがったのがVR(バーチャルリアリティ)システムです。ゲームクリエイターの水口哲也さんと西川美優さんは次世代VRについて対談し、映画監督の押井守さんはデジタルアニメーションとVRにおける距離感について独自の理論を展開しました。
講演後、名刺交換禁止という日本ならではの慣習をやめて、互いのクリエイティビティへの興味で会場ではさまざまな対話が始まりました。投資ありきではなく、純粋にクリエイティブへの興味から始まり、そこへの投資の機会を生む。両者を純粋に繋げる、またとない機会が東京で始まったのです。
来たる7月11〜14日にはベルリンでTOAが開かれます。ヨーロッパはもちろん、アメリカ・アジアの起業家やベンチャーキャピタルと出会えるTOAは、若いイノベーターにとってはまたとない魅力的な場所となることでしょう。まずはベルリンへ、という人に向けたツアーもすでに組まれています。いずれにしてもクリエイションにおける新しい刺激をうむTOA、いまからぜひ注目してください。
「TOA」公式ツアー https://www.infobahn.co.jp/news/8294