『コンクリート・アンド・ゴールド』
フー・ファイターズ
ハイパーで激しくて美しい、現代のロック・アイコンの新作。
鈴木宏和 音楽ライター満を持して夏フェス「SUMMERSONIC」に初出演し、ヘッドライナーを務めたスタジアム・バンド、フー・ファイターズが、3年ぶりのニュー・アルバム『コンクリート・アンド・ゴールド』を世に送り出す。
この間に、サポート・キーボーディストとしてバンドとともにツアーをしていたラミ・ジャフィーが正式加入し、6人編成となったフー・ファイターズ。今作のリリースに先駆けて、フロントマンのデイヴ・グロールがネットに興味深いコメントを寄せていた。なんでも、「ロサンゼルスから福岡までのスピーカーが、全部ぶっ壊れる」というのだ。なぜゆえに福岡なのかはさておき、とにかくそれくらいのスケールのアルバムだという意味なのだろう。
まず最初に届いた曲が、先行シングルの「ラン」。これが、ヘヴィ&ラウドなサウンドとスウィートなメロディ、新機軸とも言える跳ねるようなダンサブルなビートが完璧に融合した、まさに規格外のロックンロール・ナンバーだった。なるほどと唸らされたが、アルバムは輪をかけてハイパーな内容だ。どこまでも激しく、同時にどこまでも美しい。そして、ストリングスやピアノ、オルガン、メロトロンなどの導入、ヴォーカルのエフェクト加工、流麗なボサノヴァ調から激情サウンドへと一転する大胆な楽曲構成、ポール・マッカートニーをはじめとする多数の客演など、どこまでも攻めの姿勢が貫かれている。
アデルやベック、シーア、テイラー・スウィフトらポップ系アクトを手がけているプロデューサーで、今回がヘヴィ・ロック系の初仕事だったというグレッグ・カースティンの起用も、大いに功を奏したと言えるだろう。「モーターヘッドがつくった『サージェント・ペパーズ』的な作品にしたかった」という、デイヴの公式コメントにも頷ける秀逸な一作だ。
『コンクリート・アンド・ゴールド』
フー・ファイターズ
SICP-5600
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
¥2,376
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