巨大アート「ストランドビースト」に命が宿る。『テオ・ヤンセン展』が山梨...

巨大アート「ストランドビースト」に命が宿る。『テオ・ヤンセン展』が山梨でスタート

文:一ノ瀬 伸

テオ・ヤンセンの作品「ストランドビースト」にはそれぞれ名称があり、生物のごとく進化系統樹が設定されている。《アニマリス・ペルシピエーレ・プリムス》2006年 セレブラム期 ©Theo Jansen

“生きる”巨大アート「ストランドビースト」を手がけるテオ・ヤンセンの展覧会が4月24日(土)から、山梨県立美術館(同県甲府市)で開催される。会場では、迫力ある10m超えの巨体が動く姿を楽しめる。

ヤンセンは1948年、オランダ生まれ。大学で物理を学んだ後、芸術の道へ進んだ。科学とアートを融合させた作品の制作に取り組み、「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも称される。画家、文筆家としても活動してきた。

オランダ出身の作家テオ・ヤンセン。2009年の東京・日比谷を皮切りに日本、アジアでも精力的に展覧会を開いている。

世界的に高い評価を受けるストランドビーストは、物理学を専攻したヤンセンのバックグラウンドが色濃く反映された作品だ。オランダ語で「砂浜の生命体」を意味するこの作品が誕生したのは1990年。祖国オランダの海面上昇問題の解決策を模索する中、「浜辺で砂丘を作る生き物」として着想した経緯がある。

オランダの浜辺に並ぶストランドビースト。風を動力として、砂浜を“歩く”。《アニマリス・ウミナミ》2017年 ブルハム期 ©Theo Jansen

プラスチック製チューブやペットボトル、結束バンドなど身近な材料で作られたストランドビーストは計算式に沿って緻密に設計され、風を受けて動く仕組みになっている。多数の脚を動かしながら前進する姿は生物さながら。なかには、水を感知すると後退する「危険察知能力」を持つ進化形も存在する。

展覧会では、ストランドビースト約10体を展示。幅約12m・高さ約4mの「アニマリス・ペオムニア・セグンダ」など3作品は会期中に毎日、実際に動く様子を見られる。来場者が触れて動かすことができる小型作品を用意するほか、そのメカニズムを映像やパネルで解説。ヤンセンが本展に寄せたインタビュー動画も公開される。

同美術館の下東佳那さんは「インターネットの映像などで動く姿は見られるが、実物を見るとやはり圧倒的迫力。間近で楽しんでほしいです」と話した。

テオ・ヤンセン展

開催期間:2021年4月24日(土)~6月22日(火)
開催場所:山梨県立美術館
山梨県甲府市貢川1-4-27
TEL:055-228-3322
開館時間:9:00~17:00 ※入館は閉館30分前まで。
休館日:月曜(5月3日、6月21日は開館)、5月6日
入場料:一般¥1,000、大学生¥500、高校生以下無料
※オンラインでの事前予約制。詳細は公式HPで。

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