門外不出の名品も初来日!「日タイ修好130周年記念特別展 タイ~仏の国の輝き~」展で見られる、うるわしき宝たち。
今年は日タイ修好130周年。これを記念して、両国が総力を結集した展覧会が、東京国立博物館にやってきました。東京国立博物館でのタイ展は、30年ぶりだそうです。
タイ王室と日本の皇室の親密な関係をはじめ、仏教を尊ぶ文化土壌や農業を基本とする社会体制など、タイと日本は共通点も多く、その交流は約600年前にさかのぼります。1887年締結の修好条約もその新しい形として今日までつながっているのです。
国民の95%が仏教を信仰するタイでは、長い歴史の中で多様な仏教文化を生み出してきました。
本展では、タイ仏教の大きな流れに沿い、門外不出の名宝や選りすぐりの美術品が来日。15世紀から続く日本との交流の歴史も紹介しつつ、その全貌をたどる充実の内容です。なかでも注目は、高さ5.6mを超える第一級王室寺院ワット・スタットを飾った、『ラーマ2世王作の大扉』の世界初の国外展示と『ナーガ上の仏陀坐像』『仏陀遊行像』などの本邦初公開の名品。アユタヤー時代の黄金に輝く王権の象徴、五種の神器の豪華な象嵌を駆使した作品群は、二度と日本では見られないかもしれない、貴重なラインアップです。
会場は、5世紀に仏教が伝来し、タイ族により仏教文化が大きく花開く土壌をつくった古代の仏教世界から始まります。仏陀の教えの広まりを示す法輪から、ヒンドゥー教をもたらしたクメール美術と融合した仏教美術は妖しさも加わった魅力です。13世紀にタイ族が興した王朝スコータイでは、「幸福の生まれ出ずる国」というその意味のごとく、穏やかでやわらかい仏陀像の表情が印象的。この頃、軽やかに歩みを踏み出す遊行像も多く制作されました。14世紀半ばから、上座仏教を国教とし、400年の国際交易国家として栄えたアユタヤー文化は、ゴージャスともいえる豊かさと技術の高さで圧倒します。琉球との交流以来、江戸時代には朱印船貿易により、タイに日本人町が形成されます。国内の貴重な資料も含めたシャム交易の記録からは、夢を求めて渡った日本人の姿が見えてきます。また、ビルマとの戦いで失われたアユタヤー文化を復元することに力を注いだ19世紀ラタナコーシン時代では、伝統文化を守りながら、近代化する世界に対応していくタイ仏教の強さと深さを感じます。
“微笑みの国”タイ、その由来を体現したような、穏やかでいて力強い名宝を愛でながら、あちこちに「ゾウ」を見つける楽しみも……。きらめきと信仰の歴史に触れて、幸福を感じられる展覧会です。
「日タイ修好130周年記念特別展 タイ~仏の国の輝き~」
開催期間:~8月27日(日)
開催場所:東京国立博物館 平成館
東京都台東区上野公園13-9 ※会期中一部展示替えがあります
開館時間:9時30分~17時(金・土曜は21時まで、日曜は18時まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日: 月曜日(ただし8/14は開館)
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
入館料:一般1,600円
http://www.nikkei-events.jp/art/thailand/