8000m級の難峰を目指す記録と記憶。「K2」石川直樹写真展、銀座にて...

8000m級の難峰を目指す記録と記憶。「K2」石川直樹写真展、銀座にて開催中です!

「山の中の山」と登山家の間で評されるK2。作品からは、人を寄せ付けない強さと険しさだけでなく、神々しさを感じます。©Naoki Ishikawa

写真家の石川直樹さんの作品展「K2」が、銀座のシャネル・ネクサス・ホールにて開催中です。

2011年に世界最高峰のエベレストに二度目の登頂を果たしてから、ローツェ、マナスル、マカルーをはじめとした8000m級の高峰への遠征を毎年重ねながら、石川さんは写真や映像、そして文章で登頂までの一連の記録を残してきました。今夏、その集大成としてヒマラヤ山脈西端に位置する世界第2位のK2(8611m)を目指したのです。

ネパールから登頂する8000m級の山々と異なり、独立峰で厳しい環境にさらされるK2は、実に4人に1人が命を失うといわれるほど登頂が非常に難しい山です。パキスタン・中国・インドが国境を接するカラコルム山脈の奥地にあるベースキャンプ周辺に村などの人の営みは一切なく、氷河上での野営を余儀なくされれるためにネパールよりもハードだった、と石川さんは言います。それだけに2週間近い下見や準備を慎重に重ねて頂を目指しましたが、相次ぐ雪崩によりK2を断念、隣のブロードピークを目指すものの悪天候に阻まれて撤退を余儀なくされました。

平地のような身体能力を発揮することが困難な7000m前後の場所でも、カ メラを携え、記録し続けた石川さん。K2・ブロードピークの作品で私たちに見せてくれているのは、風景だけではなく、8000m級の山々で感じる自分の身体を使い尽くす感覚や変容していく意識といった、心身に刻まれた記憶でもあるのです。

2015年、今まで以上に過酷な登山になることが予想される石川さんの挑戦にシャネルが共感し、支援したことがきっかけとなり今回の展覧会が実現しました。石川さんが「一生忘れられることのできない大切な日々となった」という2ヶ月間に及ぶ遠征の記録は必見です。会場構成とともにお見逃しのないように!(小川 彩)

ブロードピーク登頂に向けた最終キャンプからの眺め。向こうにはK2が見えます。©Naoki Ishikawa

K2・ブロードピークのベースキャンプに向かうトレッキングルートは、氷河とその上に堆積した石や土砂の道。シェルパ、ポーターやロバとともにひたすら歩きます。 ©Naoki Ishikawa

エントランスから会場奥に向かって時系列に写真を展示しているので、トレッキングを経て、ベースキャンプから登頂へと向かう石川さんの視線を追うことができます。会場構成はナノナノグラフィックスのおおうちおさむさん。

「通い慣れたネパールとは異なり、パキスタンに入国して長いトレッキッグルートを経てからようやくベースキャンプに到着するK2は、ベースキャンプ入りする道のりだけでも消耗してしまう」と話してくれた石川さん。「生きているうちにまた必ず登る」。そう石川さんに決意させた今回の登山の記録をまとめた写真集『K2』が、12月13日にSLANTから発売されます。

「K2」石川直樹写真展
会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4階
TEL:03-3779-4001(シャネル・ネクサス・ホール事務局)
会期:12月5日(土)~12月27日(日)   
開場時間:12時~20時 
入場無料
無休
http://www.chanel-ginza.com

8000m級の難峰を目指す記録と記憶。「K2」石川直樹写真展、銀座にて...