山の中や森の中、限界集落にポツンと建っている建物を特集する日本のテレビ番組が人気となって久しい。
海外にも「周囲に何もない場所に建てられた家や建物」が、よく新聞や雑誌、ウェブで特集されている。「こんなところに家?」「どうやって暮らしている?」と興味をそそられるのは世界共通のようだ。
そこで選りすぐりの「海外版:人里離れた場所にある建物」を紹介。なかには「ポツン」を超えて、「一体どうやって建設したのか分からない…」と驚きを誘う建物も。
旅行好きなら「旅心」をくすぐるはずだが、今すぐに行けない人もぜひ「なぜこんな場所に建てたの?」と思いを馳せつつ眺めてみてほしい。
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1.エリディ島(アイスランド)
エリディ島(Elliðaey)は、アイスランド南部、18の島々から成るヴェストマン諸島の一つ。1930年代、狩猟や漁業で生計を立てていた5家族がこの家を建てたという。
1990年代以降、空き家になっているものの、世界の歴史の謎を解説するサイト「Histry of Yesterday」によると現在でもハンターや漁師たちが使用することがあるとのこと。
建築資材をボートで島に運んで建設したはずだが、そこまでしてでも「絶対この島で暮らしたい!」と思ったモチベーションは何だったのだろうか……。
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2.カランバカ(ギリシャ)
ギリシア北西部、トリカラ県カランバカの崖の上に建てられた、ギリシャ正教会・修道院共同体「メテオラ」。元々この崖周辺に修道院が建てられたことから始まり、14世紀に共同体として成立。最多時には24の修道院があったが、現在も6つ残っている。
下界から離れ、「ここで祈りたい」と思う気持ちが分かる光景だ。
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3.スピッツベルゲン島(グリーンランド)
ノルウェー領グリーンランドの東部、スピッツベルゲン島(スヴァールバル諸島)にあるスヴァールバル世界種子貯蔵庫は、気候変動や自然災害を含めた「将来起こりうる世界の危機的状況」を鑑み、地球上のすべての種子を冷凍保存するために作られた貯蔵施設だ。冷凍庫が壊れても冷凍状態がキープされることが重要なので、凍てつく寒さの中に作られていることに意味がある。
雪で覆われた中に、ターコイズ色のランプが輝く貯蔵庫。オーロラが現れるとさらに幻想的だ。
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4.カツヒ村(ジョージア)
ジョージア中部、イメレティ州カツヒ村にある「カトヒの柱」と呼ばれる奇妙な形の岩。高さ40mもあるこの岩の上に、9~10世紀頃に建てられた教会がある。しばらく無人状態の時期があったが、1944年に研究者がリサーチを行った。その後2005~2009年にかけて建物が修復され、現在も聖職者が暮らしている。
岩の上で暮らすのはきっと不便なはず。しかし「それでもこの場所を守りたい」というだけの魅力がこの写真から伝わってくる。
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5.パロ(ブータン)
タクツァン僧院は、標高3120m、パロの断崖絶壁に沿うように建てられている。「タクツァン」とは「虎のねぐら」という意味。チベット密教の開祖として知られるパドマサンバヴァが雌の虎に乗ってこの地に飛んできたという伝説からこの名が付けられたとのこと。1692年から建設が開始され、2年後の1694年に竣工した。
タクツァン僧院はブータン観光のハイライトの一つ。中に入ることはできないものの、山を登り、絶景ポイントまで案内してくれるツアーが多数存在する。究極のインスタ映えスポットとして人気だ。
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6.クリスタル(アメリカ)
コロラド州クリスタルを流れるクリスタル川岸に建てられたクリスタル・ミルは、木造で出来た発電所。1890年代に作られた。個人所有のため中に入ることはできないが、絶景のため訪れる人は多いという。
コロラドの大自然に「抱かれる」という言葉がぴったりのこの場所。特に黄色く染まった木々に囲まれる秋の美しさは格別だ。
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7.トランビレーノ(イタリア)
イタリア・トレント自治県の集落、トランビレーノの岸壁に建てられている聖コロンバンの庵(教会)は、レノ川の峡谷を渡り、切り出したような岩棚に刻まれた102段の階段を登った先にある。アイルランドの聖人コロンバンにちなんで名づけられた。
元々は8世紀頃から隠者の洞窟として使われていた場所だったが、教会として使われるようになった最初の記録は1319年の文書。現在は1000年頃に建設されたという見解が主流だ。中に入ると美しいフレスコ画を見ることができる。
岩肌の美しさ、そして岩に沿うように絶妙の位置で建てられた教会の不思議さが、より神聖な雰囲気を醸し出している。