巷で随分と見かけるようになった日本のシードル。最近では、酒屋さん、ワインショップはもちろん、街中のブルワリーではタップで呑めることさえある。日本で飲まれるようになってまだ年月が短いこのお酒は、飲み手だけではなく、造り手も、自由な感性で造りを楽しんでいる。シードルは、とてもポップでフリーで、そしてイノヴェイティヴなお酒なのだ。
造り方をみても。シナモン、カルダモン、レモングラスなどのスパイスを入れたり、りんごだけでなく、カリン、洋梨、スモモ、イチゴ、ブルーベリー、時にはワイン用ブドウなどを加えたりとさまざま。例えば長野県の下伊那郡松川町にあるヴァンヴィでは、2020年に醸造免許を取得して以来、すでに14種類ものシードルを造っている。
ちなみにヴァンヴィがある南信州は長野県の中でもシードル造りが盛ん。現在8つの生産者がシードルを造っているだけでなく、委託醸造でシードルを造るりんご農家も20人を数える。今日、ご紹介したいのは、そんな南信州でのプロジェクト、「グローバルサイダーコネクト」だ。このプロジェクトは、NPO国際りんご・シードル振興会が中心になって、インサイダー・ジャパン合同会社のサポートを得ながら進められた。
---fadeinPager---
海外の造り手とコラボレーション
プロジェクトでは、南信州の5つシーダリーやワイナリー(カモシカシードル醸造所、ヴァンヴィ、喜久水酒造、ファーム&サイダリーカネシゲ、マルカメ醸造所)の造り手たちが、それぞれアメリカ、スペイン、ノルウェー、デンマーク、オーストラリアの造り手たちとコラボレーションして5つのシードルを造った。造り手たちは、野生酵母による発酵、亜硫酸無添加、りんごの濃縮果汁を加えたものなど、新たな造りに挑戦。それぞれ個性豊かなシードルが出来上がった。
個人的に印象に残ったのが、以下の2つ。いずれもりんごの風味のほの甘いシードルとは一線を画している。最近、お酒はますますボーダレス化している。ビールのようなシードル、ワインのようなビールにであることもある。今年の夏は、先入観を捨てて、シードルも楽しんでみてはどうだろうか?
---fadeinPager---
印象に残った2本のシードルは?
NPO国際りんご・シードル振興会
2013年、シードル愛好家と地域活性化を目指しているNPOとの交流がきっかけで設立された団体。9月には「セプテンバーシードルフェス in 南信州」を実施予定。