欧米ではロゼワインブームが続いている。一大産地、フランス・プロヴァンスのロゼ出荷量は2002~18年の間に40%も伸長した。理由として挙げられるのは、近年のライト化した食事にロゼが合うこと、昼間のテラス席で飲むカジュアルなイメージが現代の生活様式にマッチしていることに加え、華のある色合いが“映える”ことも大きい。
1.シチリアの活火山の息吹が伝わる、圧倒的なミネラル感を堪能
「グラーチ エトナ・ロザート」は、イタリア・シチリア島の活火山エトナの山腹、標高600mの畑でつくられる在来品種100%のロゼ。アルベルト・グラーチはエトナきっての敏腕で、高標高・高樹齢のブドウからバローロの逸品を彷彿させる優美なワインをつくる。
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2.イビサ島のモナストレル種がもつ、バラの香りでリゾート気分に
「イビスクス・ロサード」は、スペイン・イビサ島でモナストレルからつくられる。イビサは古来、地中海貿易の要所だったことから、欧州に拡散した品種の大半が一度はこの島を経由したとされる。このつくり手は、リゾート向けのロゼに特化したワインづくりを展開していて、装いも華やか。
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3.「タスマニアの父」がつくるロゼ泡は、フレッシュなイチゴとスパイスの香り
「ジョセフ クローミー スパークリングロゼ」は、豪州タスマニア島でつくられるシャンパーニュスタイルのロゼ泡。創業者ジョセフ・クローミーはタスマニア島でさまざまな産業を興した「タスマニアの父」と称される人物。不屈のパイオニア精神がワインから立ち上る。
ロゼワインは日本でも、これからの花見シーズンにうってつけのワインだ。ブドウ品種やテロワールに明確な個性がある「島のロゼ」を選んで、ロゼの懐の深さを感じてほしい。
今月の選酒人●浮田泰幸
ライター、ワインジャーナリスト、絵描き。これまで訪問・取材したワイナリーの数は600軒以上。各種メディアへの寄稿、ワインイベントのプロデュースを行うかたわら、絵描きとしてワインラベルなどの制作も手がける。
※この記事はPen 2022年4月号より再編集した記事です。