自然がもたらす“手がかり” だけで、未来の天気が見えてくる 【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】『天気の不思議を読む力』

  • 文:印南敦史(作家/書評家)
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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『天気の不思議を読む力』

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トリスタン・グーリー 著 東 知憲 訳 エイアンドエフ ¥2,640

作家で探検家でもある著者は、本書を「天気に関する非・正当的な本」だと表現している。予報画面に映し出されるような、天気図を参考にする発想がないからだ。拠り所としているのは、木の周りや道を歩く際に見つかる“手がかり”。たとえば風や雲の動き、葉や地面の水滴、水溜りなどだ。人間に本来備わった五感を駆使すれば、これからどこに雨が降りそうか、正確な予想を立てられる場合があるという。自然と人間との密接な距離感を再認識させてくれる本書はそんな視座から、気象の不思議を解き明かしてくれる。

※この記事はPen 2024年10月号より再編集した記事です。