今年のSIHHの新作の中でも、とびっきりド級の腕時計が、ヴァシュロン・コンスタンタンから発表されました。それが同社の世界にひとつしかない時計を製造する部門「レ・キャビノティエ」(旧名:アトリエ・キャビノティエ)が手がけた「レ・キャビノティエ・セレスティア・アストロノミカル・グランド・コンプリケーション 3600」です。
創業260周年のために制作された、合計57ものコンプリケーションを搭載する、世界で最も複雑な懐中時計「リファレンス57260」のDNAを引き継ぐこの腕時計。表と裏の文字盤には、合計23にもおよぶ天文コンプリケーションが搭載され、常用時、太陽時、恒星時という3種類の時間が読み取れます。3つの時間は、それぞれの輪列で作動していて、精巧を極める技術が結集した一本となっています。開発期間は5年以上でひとりのマスター・ウォッチメーカーが専任で制作したそうです。この新しい複雑機構のムーブメントは、なんと514個の部品で構成されていますが、わずか8.7mmという薄さも驚きです。しかもこの時計には香箱が6個も搭載されており、3週間のパワーリザーブを保持しています。
文字盤にはまさに”天空の時”を表現したとも言える、まばゆく輝く超新星。世界限定1本というスペシャルユニークピースとなっており、他を圧倒する名門ならではの唯我独尊の矜持を示したといえます。この複雑時計の宴に、ぜひとも拍手を送りたいと思います。(写真:宇田川 淳 文:Pen編集部)
●問い合わせ先/ヴァシュロン・コンスタンタン TEL 0120-63-1755