12月某火曜日に長崎入りし、翌水曜日に軍艦島へ上陸。悪天候であればさらにその翌日の木曜日。帰京はどんなに遅くても金曜日のお昼頃。編集部の忘年会にも間に合う。このように予備日まで設けるという万全の態勢を整えて、我々軍艦島取材班(編集とカメラマンの2名)は長崎へ飛びました。
ところが蓋を開けてみれば、天気はいいのに海が大しけ。水曜日どころか、木曜日も船が出ないという想定外の事態に陥り、見知らぬ土地で丸2日"海待ち"を余儀なくされました。
すると、ただいたずらにちゃんぽんと皿うどんを食らって過ごす日々にしびれを切らしたカメラマンEが、立ち上がりました。「対岸ぎりぎりまで接近して、望遠で狙おう」。さっそく我々はレンタカーに乗り込み国道を南下。30分ほど走るとやがて姿が見えてきたその小さな異形の島は、遠くからでも圧倒的な存在感を放っていました。海沿いをなめるように走って発見した絶好のビューポイントは、「岳路海水浴場」。5m級の高さのごつごつとした岩場があり、荒波に浮かぶ軍艦島がよりドラマチックに写ります。ちょうど夕日の時間帯、カメラマンEは「綺麗だ! 綺麗だよ!」と美しい女性を撮るかのように夢中でシャッターを切っていました。
翌日の金曜日、海はようやく穏やかさを取り戻し、どうにか軍艦島に上陸して撮影ができたのでした。ちなみに冬季はこのように船が出港できないケースが少なくなく、その場合は港近くの「軍艦島デジタルミュージアム」を見学するのもお薦め。立体模型やCGを使った展示は、軍艦島に上陸できた人でも見る価値があるほど完成度が高いです。
東京に着いたのは金曜日の深夜。忘年会は終わっていました。
岳路海水浴場
長崎市蚊焼町岳路
長崎市内よりクルマで約40分
軍艦島デジタルミュージアム
長崎市松が枝町5-6
開館時間:9時~最終入場17時30分
TEL:095-895-5000
入場料:一般¥1,800