「げたのは」を製造・販売しているのは、大森町の老舗お菓子屋店、有馬光栄堂。大森町は、かつて石見銀山の表玄関として知られ、最盛期には江戸に勝るとも劣らない栄華を誇ったともいわれています。
この大森町は国の重要伝統的建造物保存地区にも指定されており、江戸時代の雰囲気を残す街並みが、旅の気分を盛り上げます。かつて大森町は、代官屋敷があった陣屋町であり、武家や商人が混在して暮らしていたエリアでもあります。現在も多くの人々が生活を営んでおり、観光地とはいえーー暮らしの息遣いが感じられるのも、印象的です。
このエリアには、レトロな木造建築を利用した雑貨店、カフェ、宿、郵便局、オペラハウスなどが立ち並び、公開している旧家もあります。不思議なのは、「必要とされていないけれど、無理やり残している」感じがしないのです。自然なかたちで有効活用されている。その原点が、暮らす人々の“誇り”にあるような気がしてなりません。
そこで尋ねてみると、大森の住民たちは、石見銀山が衰退した後も転居したりせずに、代々、居を構え続けてきた家が多いとのこと。やはり、そこに暮らす人々の想いはポジティブなエネルギーとなって、街を生かし続ける原動力になるのだな、と感じたのでした。