これまでは昭和通りの東側を巡っていた森岡さんですが、ここで一度だけ昭和通りを渡ることに。目指すは高速道路の脇、これを渡ると京橋という銀座の境界線に立つのが昭和50年開業の銀座湯です。「なんといってもここは湯が熱い! 私には一気に湯船に浸かることはできません。でもこの熱さが江戸の湯なんでしょうね」と、その魅力を語ります。
「冬になるとビルが冷えるので、入りに行きたいなと思うんですよ」という森岡さん。2003年からつけているという日記を見返してくれたところ、やはり初めて銀座湯に立ち寄った日もあまりに寒い日だったといいます。当時は茅場町に店を構えており、新橋で用事を終えたあとに冷え切った身体を温めなおすためにふらりと立ち寄ったのがきっかけだったとのこと。以来、どこか近くで打ち合わせがあると、ふらりと立ち寄っていたそう。手ぶらでも道具はすべて貸してくれるのもうれしいといいます。
そして銀座湯最大の魅力は、なんといっても男湯の壁面に描かれた銀座の街並みです。描かれているのは、和光を中心に、昭和50年頃の銀座四丁目の交差点。東京メトロではなく営団地下鉄のマーク、京橋方面に連なるビルも心なしかまだ背が低いように見えます。そして夜の街を描いたモザイク画はなんとも銀座らしい洒落た魅力が漂っているとは思いませんか。ペンキ絵ではないため劣化もなく、当時と変わらぬ雰囲気をいまに伝えてくれます。
「ここでひと風呂を浴びて、身だしなみを整えて飲みに行くのが最高ですね。さっぱりした後にビールで天ぷらなんて最高じゃないですか」