京都で出合う暮らしの道具に魅せられて。
第4回 女性店主編
昨年12月の京都特集連動企画としてはじまった「京都で出合う暮らしの道具に魅せられて」。第4回目は「女性店主編」と題して、しなやかかつ鋭い感性で独自の世界観を紡いでいる女性店主のショップを紹介します。生活道具や器、アンティークなど“好きなものには妥協しない”厳しい目で選ばれた品々は、ライフスタイルにこだわりをもつ男性の心にもきっと響くものがあるはずです。
写真・蛭子 真 文・小長谷奈都子Kit
京都で生まれて育った椹木知佳子さんが、2012年にスタートした「屋台の延長のような」生活雑貨の店が、昨年春、河原町丸太町の交差点近くから御所東の静かな通りにある一軒家へ移転して、ますますパワーアップ。2階がショップスペース、1階が月に1度個展やイベントを行うギャラリースペース。店内には作家と一緒につくったオリジナルの器や道具や、年に数回買い付けに行く韓国の古いものが並びます。「自分が使いたいもの、面白いと思うものを扱っています。作家さんと何かをつくる時は古いものを参考にすることもあります」。一見そっけなく見えたり、無骨に感じるものも、手に取るとその温かみやていねいなつくりに気づくはず。新しい出合いを求め、階段を上るのが楽しみになる一軒です。
二十日
下鴨神社の糺ノ森から歩いてすぐの住宅街に佇む二十日は、北欧のヴィンテージ家具や雑貨を扱うショップ勤務を経て、独立した栗山葉子さんのお店です。「日本の古いものもあればヨーロッパのものもあるし、器だけでなく、カゴや布も扱っていて。何屋さんか聞かれたら、アンティークショップです、と答えています」と笑う栗山さん。もの自体の価値だけでなく、生活や空間の中においてより魅力が増すというところを大事にしているそう。ロールストランド社のヴィンテージの器、日本の古いグラスやすり鉢、古い伊万里の猪口、備前の煎餅皿、そして繊維ものが好きということから、古い端切れやバスケットなど。それらが、土壁と木を基調としたシンプルモダンな空間に、良心的な価格で並んでいます。
木と根
オープン12年目を迎える「木と根」は、静かな路地裏にありながら人が絶えない人気店。古い倉庫を改装した店内には、店主・林七緒美さんの審美眼にかなった作家の器や木工雑貨、カゴなどがずらりと並びます。「井山三希子さん、市川孝さんなどの人気作家をはじめ、器で30人前後、ほかも合わせると40人前後の作品を扱っています。自分の好きなものしか置いていません」という林さん。どれも、家に来たその日からすっと生活に寄り添うような作り手の温もりあふれるものばかり。ほかには、林さんが北野天満宮の骨董市で仕入れる器や、京都をベースに活躍する菓子職人や料理研究家の食品も展開。店奥に併設した小さな喫茶室は、器の経年変化や手触りを実際に試してほしいと、オープン。季節ごとに登場する手づくりスイーツも必食です。
昂 KYOTO
骨董商の家に生まれ育ち、その審美眼やセンスに定評がある永松仁美さんのお店は、賑やかな祇園の四条通りから奥まった一角の2階にあります。自然光が差し込む明るい空間に美しくディスプレイされているのは、直接ヨーロッパで買い付けたアンティークや現代作家の陶磁器や木工作品など。時代や国を超えたミックスコーディネートが永松さんの真骨頂です。京都の老舗や人気作家と共同制作するオリジナルアイテムにもファンが多数。「京都は人ありきの街。職人さんや作家さんとのお仕事も同じ感覚で、素晴らしい方たちと一緒に作りあげていけることが、ありがたく、楽しいです」と永松さん。自分用にお気に入りの酒器や器を吟味したり、大切な人へのプレゼントを探したり。暮らしを豊かに彩る“とっておき”なモノに出合えるでしょう。