クルマとくらしの距離を縮める、新しい機能とは。
ちょっと先の未来を思い描いて開発されたHonda e は、これまでにない機能を備えている。クルマと人、社会との新しい関係を提案するその仕掛けをひも解こう。
エンジンと異なり、モーターは電気が流れた瞬間に力を発揮する。だからHonda eは、アクセルを踏んだ瞬間に電光石火のレスポンスで反応する。モーターのなめらかさもあり、エンジンとは異次元の走りの楽しさを提供する。
けれどもHonda eは単にエンジンの代わりにモーターを積んだだけのモデルではない。人とクルマの関係、クルマと社会の関係について、新たな提案を行っているのだ。
たとえば、ほぼ無音で排出ガスがゼロのHonda eは、エンジン車と違って自分の家に入れても問題ない。クルマを自宅に〝ビルトイン〞して、クルマのバッテリーに蓄えた電力で自宅の家電製品をまかなうというのは夢物語ではない。
だから従来のクルマより人や生活に近い存在を目指して、インターフェイスは人の感性に寄り添うものとなっている。一例が、ドライバーの目の前に広がるワイドビジョンインストルメントパネルだ。液晶画面に各種情報が整然と表示されるほか、停車時や充電中に映画などの動画コンテンツが楽しめるようになっている。また、先進的なAIを搭載、音声認識を通じて、声で操作することもできる。
また、Honda eは社会とつながるクルマでもある。たとえばクルマの電力を住宅に供給する機能もそうで、移動以外でクルマが活躍する新たな役割りも兼ね備えている。だから車両には、インターネットを通じてユーザーと多様にコネクトする先進技術が採用された。理想の未来を思い描いた時に、そこに間違いなくあるクルマと言えるだろう。
Honda e
2019年のジュネーブモーターショーでお披露目されたプロトタイプのデザインをほぼ踏襲して市販する。ポップアップ式のドアハンドルやカメラ化したドアミラーなど、突起物の少ない外観が新鮮だ。
- サイズ(全長×全幅×全高)
- 3,895×1,750×1,510㎜
- ホイールベース
- 2,530㎜
- 最高出力
- 136PS(Honda e Advance/154PS)
- バッテリー
- リチウムイオンバッテリー
- 価格
- ¥4,510,000~
01.革新的なインターフェイスが、人とクルマの距離感を変える。
人とクルマの間でやりとりする情報の量が飛躍的に増えている。速度や空調、地図のほかにも安全・運転支援装置など、情報の量が増え内容も複雑になっているからだ。
そこでHonda eは、人とクルマとのインターフェイスを革新した。情報を表示するインパネには、5つのスクリーンを水平に組み合わせたワイドビジョンインストルメントパネルを採用。運転席で地図、助手席でスマホの音楽を操作するなど、マルチタスク機能も与えた。運転中は「OK, Honda」と呼びかけることで目的地や空調を設定するホンダパーソナルアシスタントがドライブをアシストする。離れた場所からクルマとつながる技術「Honda CONNECT」も充実。
専用アプリを用いて空調管理や目的地設定ができるなど、人とクルマとの距離が近づいた。
- ワイドビジョンインストルメントパネルは、スマホの待受画面のように自分の好みにカスタマイズ可能。機能だけでなく、パーソナライズする楽しみもある。
- リビングで家族と考えたドライブプランをスマホアプリからクルマに転送したり、出発する時間に合わせて車内のエアコンを働かせて快適な温度に設定するなど、これまでと違うクルマとの付き合い方ができる。
02.住宅とコネクトすることで、停まっているときでも役に立てる。
Honda eは、高性能リチウムイオン電池を搭載する。この電池は、一度の満充電で約300㎞(JC08モード)の航続距離を確保するほど大容量で充放電できることも特徴である。充放電とは耳慣れない言葉であるが、クルマを蓄電池として用い、外部に電力を提供することを意味する。
すると、こんな使い方が考えられる。たとえば、夜間の電気料金が安いプランを利用して深夜に充電、クルマを使わない日には蓄えた電力で家庭で使う電気をまかなう。また、非常時や停電時でも、クルマに蓄えた電気で携帯電話の充電だけでなく、家庭内のさまざまな家電製品を稼働させることができる。
これからは、暮らしのエネルギーを家に設置された太陽光パネルから集め、クルマに電気を蓄え、かしこく使う「エネルギーの家産家消」の時代。Honda eでエコな暮らしだけでなく、災害が増えているいまこそ、有事に備えた安心な暮らしが手に入る。未来の暮らしに欠かせないクルマといえるだろう。
- Honda eとV2H(Vehicle to Home)機器をつなげることで、家庭内のさまざまな家電製品を稼働させるだけでなく、非常時や停電時でも電力を供給できる。
03.ドアミラーをカメラに代えて、安心と快適性が大幅に増した。
Honda eが打ち出した新機軸のひとつに、従来のドアミラーに代えてサイドカメラミラーシステムを採用したことがある。
鏡の代わりにカメラを据え、モニターで後方の映像を確認するのだ。カメラを用いる利点のひとつは、従来のドアミラーを畳んだ状態よりもコンパクトになることだ。狭い道でのすれ違いが楽になるほか、風を切る音が小さくなるので車内が静かになる。
また、「夜モード」「夕暮れモード」「木陰モード」「昼モード」と、自動でモニターの明るさを調整する自動調光機能が備わるので、暗い夜間でもはっきりと映る。ドアミラーのように鏡面に雨粒がついたり曇ったりすることが少ないので、雨などの悪天候にも強い。鏡よりも広い範囲が確認できることもあり、時間や天候に関係なく快適に、安心して運転ができるのだ。
ルームミラーには鏡とカメラを使い分けることができるデュアルシステムを採用。たとえば荷物が多くてリアウインドウ越しの視界が確保できない時でも、カメラモードであれば、視界を確保できる(一部のグレードのみ)。
- 170万画素の高性能カメラを用いるサイドカメラミラーシステム。
- カメラの映像は、運転席の両端に位置する6インチの大きなディスプレイに鮮明な画像で表示される。ドアの外のミラーを見るより視線の移動が少ないことも、安全性の向上に寄与する。車線変更やバックの際は、距離の目安となるラインが表示される。
04.モダンでリビングのような室内は、
自分の部屋のようにくつろげる。
外観からは想像できないほど広々とした車内は、ひと言で言えばリビングルームのように居心地のよい空間となっている。シートには肌ざわりも色合いも北欧家具のようなファブリックを用い、水平基調のワイドビジョンインストルメントパネルのデザインとあいまって、モダンで落ち着いた雰囲気になっている。後席の天井に設けたLEDのダウンライトや、開放感あふれるガラス製のスカイルーフなど、車内の明るさにこだわる姿勢も、従来のクルマとは一線を画している。
ほかにも、まるで自分の部屋にいるような使い勝手のよさを実現するための工夫が見られる。たとえばUSBジャックが人数分用意されていたりと、クルマに乗るからといってなにかを我慢する必要がない。
また、後席に荷物を置いたまま外に出ると注意を促すリアシートリマインダーにも、人に寄り添う姿勢が感じられる。そして温度を3段階で設定できる運転席と助手席のシートヒーターとステアリングヒーターが標準装備されることから冬でも快適。日常生活とクルマでの移動がシームレスにつながるのだ。
派手な装飾で“盛る”のではなく、シンプルでありながら上質さを感じさせるデザイン。引き算の美学が感じられる。肌触りのよいファブリックを用いたシートや、ナチュラルな色づかいなど、使う人の身になって心地よさを追求した。そしてこうした居心地のよさは、物理的に余裕のある居住空間の上に成り立つ。