茶系の装いに重宝する、ヴィンテージのミリタリーコート

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スタイリスト
池田尚輝

1977年北信濃生まれ。スタイリスト、ファッションディレクターとして2000年よりフリーで活動。本誌Penをはじめとしたさまざまな雑誌、ブランドカタログ、ショーなどでユニークかつモダンな世界観を提示する。アウトドアやアートにも明るい。

本誌3月15日号ファッション特集「ジェントルマンズ・ルールブック」でもスタイリングを担当してくれた池田尚輝さん。「茶系のコーディネイトで、一年中使えるようなコートを探していました」。そこで見つけたのが、この1960年代イギリス軍のステンカラーコート。「茶系のジャケットやシューズは好きでよく買うのですが、それに合わせるコート、バッグ、ベルトなどに困ることがあるんです」。
季節を気にせずに活用できそうな、このコートを見つけたのは渋谷のセレクトショップの「7×7」。薄すぎず、濃すぎない、絶妙な色味と質感に惚れ込んで購入したのだとか。定番カラーとは一線を画す、ほどよいミリタリー感がオリジナリティあふれる一着です。

ライニングの色もコーディネイトのアクセントになっています。「ステンカラーコートを選ぶ時は、“刑事コロンボ”にならないように色味とサイズ感に気をつけています」という池田さんは、少しオーバーサイズなものをチョイスして、今の雰囲気をうまくプラスしています。

「このタグかっこいいでしょ。ベルトにも付いているんです」。珍しいタグのあしらいも、気に入っているポイント。イギリス軍の官有物であることを示す矢印形のマーク「ブロードアロー」が、本物の風格を湛えています。

ゆったりとしたシルエットなので、ベルトを絞めたときのドレープ感が美しい。肩まわりにゆとりがあるラグランスリーブで、袖も太めに作られているので、ジャケットを中に着てもシルエットが崩れない。男らしい背中も魅力のひとつ。

この日のコーディネイトは茶系の色味と相性のいい、ネイビートーンのコーディネイト。首もとにさらりとストールを巻くことで、コートのAラインのシルエットが際立ちます。気分によってストールの種類を変えることで、着こなしの雰囲気もガラリと変わるでしょう。

シューズ、コート、バッグの色味は、同系色で合わせることが紳士の作法。ディテールのひとつひとつが洗練されていて完成度の高いコートは、カジュアルからスーツまで、幅広いスタイリングに活用できます。