ヴィンテージ・マーケットにおいて近年急速に人気の高まっているピエール・ジャンヌレの家具。そのジャンヌレがインドの「チャンディーガル都市計画」の際にデザインした家具が、現在もインドの工房「ファントム・ハンズ」の手仕事により、つくられ続けているのをご存じだろうか。11月29日(金)から12月8日(日)まで、ジャンヌレの復刻家具とアートをスタイリングし、暮らしのシーンを提案する企画展「HANDCRAFTED MODERN-ピエール・ジャンヌレの家具とアートのある暮らし」が、六本木のアクシスビルで開催される。
展覧会を企画し、ジャンヌレ復刻家具の販売を手がけるのは「五割一分」。ディレクターの三浦哲生氏は「復刻版があること自体、最近まで知られていませんでしたが、2015年からインドのファントム・ハンズという工房が職人の手仕事を継承しながら、オリジナルに忠実に製作しています」と語る。素材を当時と同じチーク材にするため、築100年以上の建物に使われていた古材を使用。オリジナル図面が残っているプロダクトのみを忠実に再現している。展覧会の立案と共同企画、ディレクションを担当したスタイリストの川合将人氏はファントム・ハンズの手仕事を「木の質感やクオリティは非常に高い。座面はより丈夫な藤の籠目編みにするなど、実用性にも優れている」と評価している。
「かつてコルビュジエの建築にペリアンやジャンヌレの家具、アート作品がコーディネートされていたように、展覧会では家具だけでなく空間として総合的に見せたいと思いました。」と三浦氏。その言葉通り、会場では家具に日本のクラフトやアートを組み合わせて展示販売を実施。和紙のアーティスト、ハタノワタルやガラス作家ピーター・アイビー、木工作家の中西洋人、空間植栽を手がける叢などの作品が並び、日本らしい設えの提案となっている。川合氏も「ジャンヌレの家具はアートと組み合わせると、空間をすっと引き立てる透明感がある」と語る。「それはもともと、売るためのものではなく、チャンディーガルの建築に合わせて市民のためにデザインされたものだからでしょう。素朴な普遍性がある手工業的な家具です。工芸とアートの間のような現代の日本のクラフトとも共鳴するものがあると思いました」
いまやヴィンテージのアームチェアは100万円以上するコレクターアイテム。対して、復刻品は40万円程度。今回はイスだけでなく、ベンチやコーヒーテーブル、世界初の復刻生産となるリネン・バスケットも出展される。「使われているラタンの素材や大きすぎないサイズ感は、日本の住空間にも馴染むはず」と三浦氏。民藝にも通じる飾らない力強さをもつ、時を超えた家具を実際に目にして、暮らしのイメージをふくらませてほしい。
『HANDCRAFTED MODERN –ピエール・ジャンヌレの家具とアートのある暮らし–』
開催期間:2019年11月29日(金)〜12月8日(日)
開催場所:ICS
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3F
開場時間:11時~19時(月~金) 13時~18時(土・日)
入場無料
会期中無休
トークイベント『プロジェクト チャンディーガル』
開催日時:2019年11月29日(金)19時~20時
登壇者:Deepak Srinath(Phantom Hands)× 沖田 桂(51%)× 中里恭宏(イニシャルジャパン)
入場無料
予約不要