レゾナンス機構にミニッツリピーターを融合。「アーミン・シュトローム」からシンメトリーの美を追求した超絶スケルトンモデルが登場。
同じ梁(はり)に吊り下げられたふたつの振り子のうち、ひとつを揺らしてしばらくすると、もうひとつも同じように動き出します。この共振現象をふたつのテンプで実現した「レゾナンス」をメインコレクションとするアーミン・シュトロームから、ミニッツリピーターも搭載したグランドコンプリケーションが登場しました。
往復振動するふたつのテンワ(テンプのホイール部分)が共振する「レゾナンス」は、それによってテンプの振動が安定するだけでなく、衝撃などが精度に与える影響も低減。ゼンマイエネルギーの節約にも寄与するそうです。この共振現象は17世紀から知られており、ブレゲは二重振り子のクロックで効果を実証しましたが、腕時計のテンプでは厳密な調整が必要。アーミン・シュトロームはふたつのテンワを同期させる“梁”の役割を果たす特殊な形状の「レゾナンス・クラッチ・スプリング」を開発(特許取得)。信頼性が高く効率的な共振システムを完成させました。
この「レゾナンス」機構に、音で時間を告知する伝統的な複雑機構を融合した新作が「ミニットリピーター・レゾナンス・マスターピース2」です。歯車の複雑な輪列を裏側に隠したスケルトンなので、要所がわかりやすいのも魅力。12時位置にはミニッツリピーターを鳴らすハンマーがふたつ。ケース左側のレバーを押し下げれば、このハンマーが時分計のダイヤルを取り巻く2本のリングを叩いて、時間・15分・分をふたつの音色で教えてくれます。
時計両側にはローズゴールドのブリッジがあり、その先にはテンプがふたつ。左右完全対称なシンメトリーの美しさをピュアにデザインしています。香箱も裏側に配置されていますが、ふたつの動力ゼンマイを2階建てで収納。ここからふたつのテンプに至る輪列もそれぞれ独立しており、様々な「2」をキーワードにしていることから「マスターピース2」とネーミングされたのです。
アーミン・シュトロームは、スケルトンを得意とする時計師が1967年に設立し、2006年に現オーナーに引き継がれた独立系ブランド。2009年にはスイス・ビエンヌに自社工房を設置しており、その10周年記念として「ミニットリピーター・レゾナンス・マスターピース2」が誕生しました。時計通には複雑なメカが興味津々というだけでなく、デザイン的にも卓越した完成度。前述したキーワードには、視覚と聴覚がもたらす“ふたつ”の満足も含まれているのです。
問い合わせ先/ノーブル・スタイリング Tel03-6277-1604