テクノロジーのチカラで、 その時に最適な一杯を淹れる。
朝、家族のために煎茶を淹れるのが長年の日課になっている。たまに私が寝坊すると、家人はバスを一本遅らせても必ずお茶を飲んでから出かける。茶葉の産地や種類を変えるたびに、最適解を求めて茶葉の量と湯温と時間を探り、一喜一憂するのだ。そんな我が家の朝の習慣をテクノロジーで覆す、驚きのアイテムが発売された。ロード&ロードの「テプロティーポット」だ。
ロード&ロードは日本出身のハードウェアエンジニアとインド出身のソフトウェアエンジニアによって2015年に創業されたテクノロジー・スタートアップ企業。“テクノロジーでお茶をデザインする”というコンセプトで生まれたこのティーポットは、スマートフォンと連携し、飲む人の体調や気分に合わせて最適な状態のお茶を淹れる、パーソナライズ抽出機能を搭載している。
ジャンピングや蒸らし、浸しなどお茶の種類によって異なる抽出の方法すべてに対応するテクノロジーと、お茶の生産者や専門家などのヒアリングによって蓄積された温度、時間、抽出方法をデータベース化。まさに最適な答えを導き出して自動制御するという、ハードとソフトの総合力が成せる技と言えるだろう。
抽出の手順は難しくない。ポットに水を注ぎ、茶葉をインフューザーの中に入れて、蓋の裏側にセットする。アプリ内のデータベースから淹れようとしているお茶の種類を選び、本体のセンサー部に指を乗せてデータを解析すると、自動で抽出条件を調整してくれる。このセンサーで脈拍、指の温度、室温、湿度、照度、騒音レベルまでを計測してくれるというのだから恐れ入る。
たとえば、リラックスしたい気分で日本茶を飲もうとする時、アプリに提示されたのは50度の湯温で180秒かけて淹れるというもの。同じお茶でも、仕事に集中したい時は75度で120秒。前者は茶葉の香りが生のように感じられ限りなく甘い。後者はキリッと香ばしい。紅茶も然り。食事を楽しむために85度60秒で抽出されたのはサラリとさわやかな苦みの少ない紅茶で、いままでにない味わいだった。
スタイリッシュながら、愛着のもてるデザインも魅力的だ。透明なポット内の水がポコポコと沸いて設定温度に達すると、条件に応じて球体のインフューザーが回転を始める。まるでショーを観ているようなエンターテインメント性があり、ワクワクする。もっとよく見えるように、取っ手部の裏面あたりにLEDを仕込んで、中の様子を照らし出してくれたら、と思ってしまうほどだ。
なにげなく飲んでいるお茶を劇的に変化させ、感動を与えてくれるティーポット。お茶好きはもちろん、コーヒー党をも茶の魅力に目覚めさせるに違いない。
スマホアプリと接続することでセンサーが使用可能に。赤く光るセンサーに人差し指を乗せ、脈拍などを計測する。