東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第78回 FERRARI PORTOFINO/ フェラーリ ポルトフィーノ
私の傘に入って⁉ フェラーリ ポルトフィーノは、リアーナの歌のように小悪魔的なGTクーペでした。
![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/statics.pen-online.jp/image/upload/news/0115_ferrari/0115_ferrari_UkVBhWA.jpg)
時速100kmまでの加速はわずか3.5秒。グラマラスなボディがその走りを期待させる。
V8エンジンを搭載し、GTカーとして誕生したフェラーリ カリフォルニアから10年。フェラーリはカリフォルニアTの後継モデルとしてポルトフィーノを発表した。新設計のシャーシは80kg軽量化され、エンジンの出力は600馬力超え。デザインも一新され、その名の通りフェラーリを北米からイタリアに帰還させる(ポルトフィーノはイタリアの高級リゾート地)という意志を感じた一台だったね。首都高から峠のロングツーリングまで500kmぐらいドライブしたけど、「フェラーリGTクーペのニューエラ(新時代)が始まった!」って感じだったね。
新時代の到来を告げる、究極のGTクーペが誕生。
ウエストを絞り込んだマッシブで肉感的なボディに、サタニック(悪魔的)なフロントフェイス。ところどころに金属を削り出したようなエッジの効いたデザインが凝らされていて、シンプルに新しい。カリフォルニアTが品で勝負していたとしたら、ポルトフィーノは新世代のフェラーリらしさを突き抜けたデザインで主張してきた。バルバドス出身の弱冠16歳の少女が、ニューヨークでいきなりリアーナになったぐらいのトランスフォーム感っていうのかな(笑)。彼女のサードアルバム『グッド・ガール・ゴーン・バッド』的な。小悪魔的で蠱惑的。ありきたりの美人じゃなくて(失礼)、気高く美しいところもリアーナっぽい。
走るとまず驚くのが、GTカーなのにそれらしくないところ。それはレーシングカーのように、はっきりとわかるハンドルと足まわりの解像度の高さなんだよね。低速だと路面の凹凸はもちろん小石ひとつ踏んでも、その形状や大きさがわかるような繊細さ。最初はこの情報量の多さに面食らうんだけど、距離を重ねるにつれて慣れていく。度の強い眼鏡のかけたては疲れるけど、じきに慣れて手放せなくなるのと一緒だよね。これも気になるようならバンプモードという、ショックを緩和してくれる足まわりの設定もある。
スポーツモードで走っていても、自動変速だと時速50kmで7速に入れるグランツアラーぶりで、これはカリフォルニアTも同じ。でもポルトフィーノは、加速しようとアクセルを踏むと、即座に3速ぐらいまでシフトダウンする。その初動が速いのね。オン・オフの切り替えが速いリアーナっていうのかな(笑)。ターボラグも感じられないし、そのままアクセルを踏み込めば目が覚めたように、高回転の乾いた音とともに超高速域へと誘われる。首都高や峠をパドルシフトで操っていると、いつでも全開リアーナでご機嫌なんだけど(笑)、本来リッター8kmぐらいで走るのが半分にもならない燃費になっちゃうのはご愛敬って感じかな。リアーナだからね(笑)。なんてね。
カリフォルニアTは“普段使いのフェラーリ”と言われてたけど、ポルトフィーノは“究極のGTクーペ登場”って感じ。テールを滑らせる緊張感が常にあるし、普段使いにするならしっかり4人乗れるGT4ルッソのほうがはるかに適している。というのもGTクーペは基本姿勢からして、日常とか、普段使いを拒否する気高さがあってこそ。その意味でこのクルマにストーリー性の強いV12は必要ないと思ったし、やっぱり358GTBみたいにV8で偏差値高めのGTクーペとして存在していてほしい。そうそう、フェラーリらしいタナトスの香りがあふれんばかりで、低速でさえ狂おしい感じがあるのも最高だったよね。
空力性能とデザインを融合させたフロントフェイス。
レッドゾーンへと誘われるメーターレイアウト。
新搭載された電動パワーステアリングでレスポンスが格段に向上。
エアアウトレットからドアノブまで伸びた美しいキャラクターライン。
ダッシュボードに配されたレタリング。
テールライトを離してワイド感を強調したリアビュー。
●エンジン形式:90度V型8気筒DOHCツインターボ
●排気量:3855cc
●最高出力:600PS/7500rpm
●駆動方式:FR(フロントエンジン後輪駆動)
●車両価格:¥25,300,000~
問い合わせ先/フェラーリ・ジャパンコミュニケーション
TEL:03-6890-6200
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