【写真特集】ファッションで振り返る20世紀
<商業目的であるファッション写真もまた、20世紀の時代の変遷を伝える重要なアートだ>
ファッション写真は、アートなのか? 商業目的という性質から、ファッション写真は長らく「芸術」というカテゴリーからこぼれ落ちてきた。人物や風景、抽象物を撮影した写真や報道写真などが時代を伝える作品として収集し展示されてきた一方で、商品を売るためのファッション写真には同等の価値が見いだされてはこなかった。
だが、ヴォーグ誌の表紙を飾ったり広告に使われたりしたファッション写真もまた、20世紀の時代の変遷を伝える重要なアートだ――そう訴え掛けてくる写真集『Icons of Style ――ファッション写真の1世紀』が7月に発売された。
1911年にパリのアール・エ・デコラシオン誌からの依頼で最初の「芸術的な」ファッション写真を撮影し、近代ファッション写真家の先駆けと言われるエドワード・スタイケンに始まり、20世紀のファッションシーンを記録する300枚以上を時代ごとに紹介。写真集の作品はロサンゼルスの美術館「ゲッティ・センター」で10月21日まで展示されている。
そこに並ぶファッション写真は、時代を映すアート作品にほかならない。
<1911-1929>
オートクチュールから既製服への転換が始まったこの時代、アメリカ人の写真家エドワード・スタイケンは、コンデ・ナスト社のヴォーグ誌やバニティ・フェア誌などで活躍。バロン・アドルフ・ド・メイヤーらと共に新しいファッション写真の先駆者となった。
<1930-1946>
世界大恐慌から第2次大戦までのこの時期は、ファッション雑誌に初めてカラー写真が登場したりファッション写真家が急増したりするなど暗い時代にあらがうような変化が見られた。ヴォーグ誌に掲載されたロシア人の写真家ゲオルグ・ホイニンゲンヒューネのIZODの水着の写真はあまりに有名だ。
<1947-1969>
第2次大戦後は移動やコミュニケーションの手段が発達し、ファッションの中心はパリからロンドン、ニューヨークへと広がった。30年に上海で生まれニューヨークに渡った若林康宏は「ヒロ」としてハーパース・バザー誌などで活躍した。