音楽評論家の田中宗一郎が編集長を務めていた雑誌『snoozer』で2009年にビートルズを特集した際には、全楽曲を白紙から採点するという大胆な企画で話題を集めた。そんな田中にとってジョン・レノンは、多感な10代のロールモデルだったと語る。
「ジョン・レノンの魅力に取り憑かれたのは、ビートルズ初期の彼の声でしたね。怒りも悲しみも滲ませているけれども、それがどれだけ暴力的な叫びになった時でも喜びに満ちあふれているんですね。それが人として目指すなにかなんじゃないかっていうのを10代の頃に感じた。その後、彼がビートルズを解散させて、これまでの自分自身を否定したレコード『ジョンの魂』や『プラスティック・オノ・バンド』を高校生の頃に聴いて衝撃を受けました。それまで高度経済成長期に強くないといけないという教育や教えを受けていた中で、弱くなっていい、弱さを認めていい、弱さをさらけ出していい、そんな価値観をレコードに教えられた気がします。可能性っていうのは無限大なんだ、と教えてくれたのがジョン・レノンでした」と語る田中。常に変化し続け、その時代の価値観や常識を覆し、新しい自分になり続けたことが、音楽的にも人間的にも思想的にもジョンの最大の魅力だと話す。
自身のアイデンティティの土台となったジョンの曲の中で、田中が選んだのは『ノーバディ・ラブズ・ユー(ウェン・ユーアー・ダウン・アンド・アウト)』。
「『ウォールズ・アンド・ブリッジズ』っていう、ジョンが最愛のオノ・ヨーコから拒絶されて、たったひとりで西海岸に移住して孤独の中でつくり上げた、すごくネガティブでシニカルなアルバムのほぼ最後に入っている曲です。タイトルが示す通り、『調子に乗っている時や落ち込んでいる時、誰もお前のことなんか相手にしないよ。誰もが君を愛してくれるのは、君が死んで土の中に埋められてからだ』と歌っているんですが、実際にジョン・レノンはそういう風になったわけですよね。彼は人間の欲望や愚かさをちゃんと見つめて、そういう部分をちゃんと書いた。一方で同じアルバムに収録された『ホワット・エバー・ゲット・トゥルー・ザ・ナイト』みたいなポジティブな曲を同時に書ける。その矛盾、もしくは多角性みたいなものがジョン・レノンだと思うので、この曲を選んでみました」
田中はPen最新号『ジョン・レノンを語れ!』の中でも、ポップアイコンとしてのジョン・レノンについて興味深い考察を披露している。こちらも合わせて読んでみてほしい。
斉藤和義は、ジョン・レノンの“ギタリスト”としての才能に注目してこの一曲を選んだ。
ラジオ局J-WAVE(81.3FM)で毎週月〜木、朝9〜13時OAする情報エンタメプログラム「STEP ONE」。ナビゲーター サッシャと増井なぎさが、働く人に役立つ情報と仕事が捗るGOOD MUSICを届ける。
Pen 2/1号『ジョン・レノンを語れ!』は 1/15(水)発売。
2020年はジョン・レノン生誕から80年、没後40年というメモリアルイヤー。なぜいまも彼のメッセージは心に響くのか。楽曲はもちろん、発言や私生活に至るまで波乱に満ちた人生を掘り下げ、その魅力の根源に迫る完全保存版。
J-WAVE(81.3FM)「STEP ONE」「Pen TALK ABOUT JOHN」
放送日時:2020年1月14日(火)~1月30日(木)の月曜~木曜 12時10分~12時20分頃
内容:Pen 2/1号『ジョン・レノンを語れ!』とコラボレーション。
毎回、スペシャルゲストが登場し、ジョン・レノンのお気に入りの1曲を紹介しながら、その想いを語ります。
※この期間、「#ジョンレノンを語れ」を付けて、ジョン・レノンの想い出とともに
好きな曲をツイートすると、番組内で紹介されるチャンスが!
Radikoでこちから聴くことができます。
→http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20200130100000
※聴取期限はOAから1週間以内
Pen Online最新号ページはこちらから → https://bit.ly/2sUdK8d
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