2019年11月の「ミシュランガイド2020」で “世界でもっとも星の多い街”に輝き、世界一の美食都市と呼ばれる東京。スイーツのレベルに関してもまた、同じことがいえるのではないだろうか。今回は、いまの東京の”甘美”を凝縮した5軒を紹介する。パリの三つ星で研鑽を積んだオーナーシェフが手がけた新作ケーキに、世界的な品評会で毎年金賞を受賞するチョコレート。プディングやパフェは、日本で独自の進化を遂げている。懐かしい甘さもまた新味に映る東京は、まさしくスイーツの成熟都市。甘党でなくても覚えておきたい、2020年代の幕開けを飾るにふさわしい顔ぶれだ。
1.ふわふわの食感がたまらない、恵比寿「レス」のパネトーネ
2.紅茶香る、九品仏「アンフィニ」のショコラ テ トサ
3.カカオ豆から選別した、代々木上原「ミニマル ザ ベイキング」のガトーショコラ
4.じっくり焼き上げた、「グーテ・ド・ママン」のキャラメルプディング
5.「ウェスティンホテル東京 ザ・バー」のチョコレートパフェ オペラ
※掲載した各店の営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。
ふわふわの食感がたまらない、恵比寿「レス」のパネトーネ
イタリアでクリスマスの食卓に欠かせない伝統菓子、パネトーネ。日本のスイーツファンにもお馴染みの存在だが、通年で販売する店は少ない。2019年9月に開業した恵比寿の「レス」は、本邦初のパネトーネ専門店。ミラノ出身のオーナーシェフ、ガブリエレ・リヴァさんが3日がかりで完成させるパネトーネは、売り切れ必至の人気ぶりだ。
独特の味わいを決定づけるのが、北イタリア特有の天然酵母・パネトーネ種。実家のベーカリーの酵母を用いて、リヴァさんは幾度となく発酵とベンチタイム(休憩)を繰り返して生地を仕込む。焼き上がった「アグルミ パネトーネ(柑橘のパネトーネ)」の濃い小麦の風味と溶けるような口どけは、発酵の賜物。クラム(中身)は生地の層が十分に空気を含んだ、ふわふわの食感だ。卵とバターの芳醇な風味、オレンジの爽やかな酸味もクセになる。「リヴァのパネトーネに触れて、お店のスペシャリテにしたいと思いました」と、共同オーナーシェフの坂倉加奈子さん。「日の経過とともに味わいが変化するのも楽しい」と、パネトーネの魅力を語る。
レス
東京都目黒区三田1-12-25 金子ビル 1F
TEL:03-6451-2717
営業時間:11時~19時
定休日:水
http://lessbygrks.com
※サイトからの商品発送も可
紅茶香る、九品仏「アンフィニ」のショコラ テ トサ
ドーム型の華奢なフォルムから、艶やかな輝きを放つ「ショコラ テ トサ」。スプーンを入れると、香り高くも甘い紅茶の風味が鼻をかすめる。オーナーパティシエの金井史章さんが惚れ込んだ、高知「霧山茶園」の和紅茶を忍ばせた円型中央のクレームブリュレは、まわりをチョコレートのクリームとムースが優しく包み込む。層になった甘さを口に運べば、味覚と嗅覚は濃厚なミルクティーの虜に。チョコレートのコクが紅茶の味わいをグッと持ち上げる。
「高知の和紅茶の素晴らしさをフランス菓子に昇華させました」と金井さん。故に名前は「Chocolat(チョコレート) thé(紅茶) TOSA(土佐)」。パリの三つ星店で製菓の腕を磨いた金井さんがつくる、日本の味覚を盛り込んだフランス菓子だ。シグネチャーの「パルファン」も、高知産ベルガモットのムースにベリー、ジャスミンとバラの風味が香るオリジナルケーキ。シュークリームの生地にはナッツを仕込むなど、どの商品にも細やかな感性があふれる。
アンフィニ
東京都世田谷区奥沢7-18-3
TEL:03-6432-3528
営業時間:11時~19時
定休日:水(その他不定休あり)
www.infinidepuis2020.com
カカオ豆から選別した、代々木上原「ミニマル ザ ベイキング」のガトーショコラ
海外の農園でのカカオ豆の選別に始まり、全工程をショコラトリーが担うビーン・トゥ・バーの製造法。その草創期にあたる2014年、「ミニマル」は富ヶ谷で創業した。余計な副材料を使わずカカオと砂糖のみでつくるチョコレートは、世界的な品評会「インターナショナル チョコレート アワード」で4年連続金賞を受賞。そのミニマルの新店舗が、ガトーショコラ専門店「ミニマル ザ ベイキング」だ。
フルーツやナッツ、スパイスの風味など、カカオがもつテロワールを引き出す同店のチョコレートの特徴は、ガトーづくりにも息づく。チョコレートケーキだと思って頬張ると、カカオの風味と重なるレーズンのような果実味が冴えわたる。この爽やかな酸味こそ、商品名「フレッシュ」のゆえん。発酵させた生地は弾力もあり、噛みしめるたび、カカオの旨味が広がる。最後にはしっかりと舌にチョコレートの余韻が残る。ビーン・トゥ・バーだからなせる、カカオの魅力に満ちた一本だ。
ミニマル ザ ベイキング
東京都渋谷区上原1-34-5
TEL:03-6407-8292
営業時間:11時~18時
定休日:月、火(月曜が祝日の場合は営業、火曜と水曜が休業)
https://mini-mal.tokyo/blogs/journal/10055
じっくり焼き上げた、「グーテ・ド・ママン」のキャラメルプディング
そのシルエットを眺めるだけで、童心に帰ってしまう。卵の黄色が映えるカスタードに、真っ当に茶色いカラメルソース。「グーテ・ド・ママン」の「キャラメルプディング」に触れて思い出すのは、幼い頃のご馳走だ。郷愁を噛み締めてツルンといけば、カスタードの芳醇さも、カラメルのほろ苦さも、大人になったいまだからこそわかるおいしさだと気づく。
1983年のオープン時から、このプリンを提供するオーナー・三富恵子さん。「手作りの素朴なお菓子を販売しているだけ」と謙遜するが、プリン液づくりひとつにも手間を惜しまない。新鮮な卵は牛乳と馴染みにくいため、力を入れて攪拌したいが、気泡が立つと台なしに。故にホイッパーでどこまでも優しく、時間をかけて混ぜ合わせる。ゆっくり温度を上げながら、3時間オーブンで焼成。“なめらか派”には硬いプリンと思われるかもしれないが、しっかりした食感の向こうには、リッチな味わいやしっとりとした舌触りもある。その複雑味を楽しめるのも、大人ならではだろう。
グーテ・ド・ママン
東京都港区三田2-17-29 グランデ三田 1F
TEL:03-3456-3205
営業時間:11時~19時
定休日:日
www.g-maman.com
バーで供される、「ウェスティンホテル東京 」のチョコレートパフェ オペラ
飲みの最後に酒ではなく、スイーツを楽しもうという「締めパフェ」。そんな札幌発祥の食文化は東京でも徐々に広まり、アイスクリームで酔いを覚ますのも一興となった。しかしパフェを楽しみながら、さらに杯を重ねられたら? 左党の願いを叶えるのが、週末の夜限定「ウェスティンホテル東京 ザ・バー」の「プレミアムパフェ」だ。
3カ月ごとに替わるパフェ3種は、香り高い洋酒を用いた目にも鮮やかな一品。20年5月末までのラインアップでは、フランスの伝統菓子をイメージした「チョコレートパフェ オペラ」を推薦したい。オペラの甘苦さを分解して、パフェとして再構築。土台のビスケットと冷たいパルフェに効かせたコーヒーリキュール&ブランデーが、ハイカカオなチョコレートと絡まり合う贅沢な味わいだ。他に「苺とラズベリーのパフェ」「シトラスと紅茶のパフェ」も。ザ・バー自慢のジャパニーズウイスキーをベースにした一杯など、パフェに合うカクテルを頼んで合わせるのもいい。
エグゼクティブ バー 「ザ・バー」
東京都目黒区三田1-4-1 ウェスティンホテル東京 1F
TEL:03-5423-7285
営業時間:11時~22時30分L.O.
無休(20年4月15日現在、プレミアムパフェ アット ザ バーの提供は休止中)
※サービス料13%プラス
※掲載した各店の営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。