夏の軽井沢で立ち寄るべき、おいしい水と空気が生んだ至福のカフェ4軒。

  • 写真:藤本賢一 文・編集:久保寺潤子
Share:

記録的な猛暑に加え、コンクリートの照り返しでまるでサウナのような都会を抜け出し、いざ軽井沢の森へ! 澄んだ空気と静かな時間の流れるカフェで、贅沢なひとときを過ごしてみませんか?

目の前を流れる川の音と木々のざわめきに耳を傾けながらコーヒーを飲めば、気分もクリアに。周囲の森では野鳥やリスが顔をのぞかせる。

個性豊かなシングルオリジンコーヒーが魅力、「丸山珈琲ハルニレテラス店」

世界各地の生産者を訪ね、コーヒーを通じて人をつなぐ丸山珈琲。オーナーの丸山健太郎さんが軽井沢の小さな喫茶店から始めたコーヒー店は、県内や首都圏に数店舗を展開、世界的バリスタを輩出する躍進ぶりだ。地元のスーパーやホテルとの限定ブレンドも好評を博している。ここハルニレテラス店は、丸山珈琲で唯一ブックカフェを併設する人気店で、晴れた日はテラスの脇を流れる川のせせらぎや鳥のさえずりを聞きながらのんびり過ごせる。観光客はもちろん、地元の人たちが寛いだり情報交換をしたりと、コミュニティスペースとしても活用されている。

丸山珈琲のスタイルはフレンチプレス。コーヒー豆そのものの味を伝えるため、コーヒーのフレーバーが多く含まれるオイル分を余すことなく抽出できる金属フィルターのフレンチプレスを全店で使用。地元のケーキ店から仕入れているロールケーキやブランマンジェもコーヒーによく合うと評判だ。常時約20種類はある個性豊かなシングルオリジンのコーヒーメニューには「白ワインの風味、シロップのような舌触り、ビターキャラメルのような味わい」などのコメントが並ぶ。その日の気分に合わせてお気に入りの一杯を選び、新鮮な空気の中で飲むコーヒーは、都会では味わえない贅沢な時間となるだろう。

丸山珈琲の中で唯一のブックカフェ。アートやアウトドア、軽井沢関係の書籍などをセレクト。購入も可能。

中軽井沢、星野エリアにあるハルニレテラス。飲食店やショップなどが共有で使えるテラスは人々の憩いの場だ。

豆の個性が引き立つフレンチプレスで提供。奥:フレンチプレスコーヒー¥596(税込)~、手前:カプチーノ¥617(税込)

丸山珈琲ハルニレテラス店
長野県北佐久郡軽井沢町星野ハルニレテラス内
TEL:0267-31-0553
営業時間:8時~20時(夏期)、9時~19時(冬期)
定休日:無休
www.maruyamacoffee.com


大きな窓からの眺めに思わず時を忘れてしまう、「レイコーヒーハウス」

大人がひとりで立ち寄れる、庭を眺めるカフェ。吹き抜けになった店内には一日中、たっぷりと陽が差し込む。屋外の席もあり、ペット連れの来店も可能だ。

中軽井沢のメインストリート、146号線と平行する小道は、緑のトンネルが続く閑静な通りだ。皇室が避暑に訪れた際、この道を通られたことから「ロイヤルプリンス通り」の愛称がついている。レイコーヒーハウスの看板は木立に囲まれた通り沿いに控えめに掲げられている。木の壁に沿ってアプローチを進むと庭の向こうにカフェが姿を現す。

オーナーの牛田健さんは東京の喫茶店でコーヒーについて学びながら独学で研究を重ね、10年前に横浜から移住し小さなカフェを開いた。一杯ずつていねいにドリップで淹れる牛田さんのコーヒーは、しっかりとしたコクのある味わい。西向きに設けられた大きな窓のあるカウンターは庭を眺めるための特等席で、マスターには背を向ける格好になるので、客はひとりの世界に没頭できる。庭には野鳥のための餌台があり、シジュウカラにゴジュウカラ、アカゲラ(キツツキ)と実にさまざまな鳥がやってくる。これら野鳥やリスが目の前で飛び回るのを眺めているだけで時の経つのを忘れそうになる。

「大人がひとりで入れるカフェをつくりたかったんです。カウンター席では居眠りをしているお客さんもいるくらい、寛いでくださっています」と語る牛田さん。10年前はスズメとカラスくらいしか知らなかったというが、いまや鳥に関してはかなりの博識家だ。ここでは言葉や音楽、映像といった日常の情報をひとまず遮断して自然の声に耳を傾けたくなる。新緑から紅葉、雪景色と刻々と移りゆく庭の景色と鳥たちの戯れを眺められるカフェは、訪れる人をいつも優しく迎えてくれる。

庭を眺めるために設計された大きな窓。カウンターテーブルは、地元・南佐久の大工さんに頼んで古材を利用した。

巣箱や餌台を設置し、餌付けしているので、たくさんの鳥がやってくる。常連のシジュウカラは、黒いネクタイが目印。

2種のブレンド各¥500(税込)、5種のストレート各¥600(税込)を用意。写真のアップルパイとガトーショコラは各¥500(税込)

レイコーヒーハウス
長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2141-431 
TEL:0267-31-5031
営業時間:11時~17時(夏期)
定休日:木(冬季不定休) 
http://raycoffeehouse.s2.weblife.me



つい長居したくなる居心地の良さに、地元民からも愛される「コーヒーハウス シェーカー」

ローカルたちが集う、 居心地のよい人気店。近隣に教会もある閑静な一軒家。使い込まれたシェーカー家具が、味わい深い雰囲気を醸し出している。ランチやティータイムの他、季節によっては夜の営業も行う。

シンプルで無駄のない、用の美に貫かれたシェーカー家具に惚れ込んだオーナーがつくったコーヒーハウス。店主の黒澤進さんは店を営みながら、休日は趣味のフライフィッシングやスノーボードへ出かける。軽井沢の自然を楽しむ達人でもある黒澤さんのもとにはたくさんの仲間が集う。店の一角にはアウトドアの道具がさりげなく置かれ、そのラフな雰囲気に心なごむ。「とにかくコーヒーを淹れるのが好き」という黒澤さんの一杯は文句なしにおいしく、居心地のよい空間につい長居したくなる。最近始めたハンバーガーも好評で、こちらはテイクアウトも可能。ロコ気分に浸れるカフェだ。

国道18号から中軽井沢方面に少し入った場所に佇む、白い壁の一軒家が目印。夏はウッドデッキのテラス席も気持ちよい。

コーヒーは丸山珈琲に特注したオリジナルブレンドをハンドドリップで提供。ブレンド¥500(税込)~

ハンバーガーに使っているバンズは近隣のベーカリー、ハルタの特注。味噌ソースがポイント。ベーコンチーズバーガー¥1,300(税込)

コーヒーハウス シェーカー
長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉3460-16
TEL:0267-45-8573
営業時間:10時~18時
定休日:水(11月~4月は火、水)

賑やかな軽井沢通りで、ヘルシーなメニューでリフレッシュ「ナチュラル カフェイーナ」

木のぬくもりを活かし、緑に囲まれた店内で、一日中ヘルシーなメニューが楽しめる。夏になると、観葉植物を屋外の入り口へと移動して店を衣替えする。

賑やかな軽井沢通りに店を構えるカフェイーナは、地元出身の中山圭太郎さんとブラジル人の妻シメイヤさんの夫婦ふたりで営む店。いたるところに置かれた観葉植物が目に心地よく、リフレッシュできる空間だ。フレンチプレスで淹れるスペシャルティコーヒーに加え、南米のトロピカルジュースやスムージー、各種お茶などとにかくメニューが豊富。ブラジルのスーパーフード、アサイーも人気で、朝食に訪れる人も多い。地元で活動する陶芸作家の器も販売するなど、アーティストとの交流も盛んで、地域に根ざしたスポットとなっている。アルコールメニューもあるので、一日中いつでも立ち寄りたい。

オーナーの中山夫妻。ふたりの明るくナチュラルな雰囲気に魅せられて、常連客も多く訪れる。

ポリフェノールや鉄分、食物繊維豊富なアサイーに果物をのせたアサイーボウル¥1,100(税込) パッションフルーツジュース¥730(税込)

コバルトブルーのカップは店でも販売している萩原将之氏の作品。カフェイーナブレンド¥550(税込)。他にも個性的な豆を揃える。

長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東25
TEL:0267-42-3562
営業時間:8時~18時(土、日、祝、夏季は7時~) 
定休日:水
www.natural-cafeina.com


以上の記事は、Pen6/1号「クリエイターを触発する、軽井沢の森へ。」特集からの抜粋です。軽井沢をめぐる詳しい情報は、本誌をご覧ください。

「クリエイターを触発する、軽井沢の森へ。」
2018年 6月1日号 No.452 ¥630(税抜)

詳しくはこちら → www.pen-online.jp/magazine/pen/452-karuizawa
アマゾンで購入はこちらから → https://amzn.to/2rvGr6u