春夏の暖かい気候のとき、シャツほど活用頻度の高いアイテムはありません。通常の着方に加えてボタンを留めずに羽織れば、ジャケットの代わりにもなり着回し自在です。ただし普通のシャツをアウターにする着こなしは、簡単なようで洒落て見せるのは意外と難しいものです。着回しを考えてデザインされたアイテムを選び、ワードローブに常備しておきましょう。ここに紹介するのは、脱ぎ着の多い季節にぴったりのスポーツ系シャツ。本体は旬の透ける素材で、メッシュのチュール裏地まで装備されています。フロントには左右に大ポケットがあり、荷物の収納に便利です。シャツでありながら着る気分がジャケットに近いこの服は、クタッとした仕上がりも秀逸。持ち歩いて肌寒いときにサッと羽織れる軽妙さが、現代の大人の日常にふさわしいワードローブです。

スポーツウエアやストリートウエアが流行するにつれ、服や小物を重ねて着るレイヤードスタイルを多くの人が楽しむようになりました。ただし暑い季節に重ね着するのはやせ我慢を強いられます。そこで今年の夏に入手したいアイテムが、涼しい透ける素材のシャツです。タンクトップなどのインナーを工夫することで、手軽にレイヤードを表現できます。透ける素材を女性的と思う人もいるでしょうが、ジェンダーレスが進んだいまなら、男性の新しいワードローブとして取り入れやすいはず。ここに紹介するのは、前身頃のみがネイビーで、ほかがブラックの開襟メッシュシャツ。虎、シマウマ、象などの動物やアフリカ的な図案がプリントされています。レトロなアロハシャツのようでいて、クールな色気とモード感もあるこのシャツは、ウールパンツにも合わせやすい大人の一着です。

スニーカーブランドのオニツカタイガーが創業されたのは1949年。翌年、ファーストモデルとして誕生したのがミドルカットのバスケットボールシューズです。創業者鬼塚喜八郎は、タコの吸盤を見て、グリップが強い、くぼみの深いソールを考案したと言います。今年創業70周年を記念して、そのモデルをベースにした「OK BASKETBALL MT」が誕生しました。フォルムからアッパー素材、ステッチなど、当時の面影を忠実に再現しています。しかしデザインやディテールは当時を彷彿させつつも、履き心地は現代的にアッデート。クッション性と反発性を備えた成形インソールを採用し、快適性を向上させました。記念碑的なバスケ靴が正常進化した、魅力あふれる一足なのです。

定番として長く愛されるアイテムは数多くありますが、進化した日本製の名品が再びスポットライトを浴びています。1983年にポーターが世に送り出した「タンカー」もそのひとつ。米空軍のフライトジャケット「MA-1」をモチーフに独自素材を開発。ナイロンツイルとポリエステル綿、裏面にナイロンタフタを組み合わせた三層構造の素材は、ボンディング素材特有のやわらかさをもち、耐久性も抜群。今季、その発表35周年を迎え、進化は加速しています。オリジナル色の「セージグリーン」は、発表当初の色に生まれ変わり、金属ファスナーの引き手から内装のファスナーやビニールポケットの仕様もアップデート。シリーズ全50型には巾着が付属され、ファンならずとも手にしたい一品です。

デザイナーの個人的な創造である“モード”と、街にたむろする者たちの共通言語である“ストリート”は、かつて水と油のように反発し合う存在でした。ところが最近のファッション傾向に即してモードが民主化するにつれ、互いのテイストを混ぜた“ラグジュアリーストリート”が出現。いまや時代の先端を行く大きな勢力になっています。スケートなどユースカルチャーを背景にもつ「パーム・エンジェルス」も、その系譜に属するブランド。ここに紹介するのは同ブランドの春夏コレクションのサコッシュ。IDケースのようにスポーティでロゴを多様したデザインは、ストリートのお約束です。スマホやカードといった必要最小限の荷物を納める薄マチ仕様も、若くアクティブな日常とリンクしています。とはいえ素材は、上質な本革のスエードという贅沢なもの。これぞラグジュアリーストリートな、着こなしのアクセントに効くアイテムです。