イギリス人ミュージシャンのポール・ウェラーが、同国のファッションブランドであるサンスペルとカプセルコレクション「ポール・ウェラー フォー サンスペル(Paul Weller for Sunspel)」を制作した。自ら工場に足を運び、自身のセンスをしっかりと投影させたコレクションになっている。
ウェラーはキャリアをスタートさせた1970年代から、ファッションにおいても世界中を魅了してきた。アラフィフ世代には、「スタイル・カウンシル」のアルバムジャケットでのステンカラーコート姿が記憶に焼き付いているだろう。より上の世代なら「ザ・ジャム」在籍時のスリムなブラックスーツを、下の世代ならソロに転向した90年代からのブリットポップな服装が頭に浮かぶかもしれない。ウェラーはステージで演奏するときも、私的な日常着を身に付けていた。ポロシャツを愛し、ロック畑のミュージシャンらしからぬ上品な装いを披露してきた。
『VOGUE JAPAN』が2020年に公開したYouTube映像で、元オアシスのリアム・ギャラガーは影響を受けたファッションアイコンのひとりにウェラーの名を挙げている。そのウェラー自身は16年の『SPACE SHOWER NEWS』のYouTube映像において、着る服の選択基準を「(60年代のロックバンドの)スモール・フェイセスが着たかどうか」と語っている。ブリティッシュ・スタイルはミュージシャンの間で世代を越え、脈々と受け継がれているのだ。
今回彼がコラボしたサンスペルは、1860年に創業したアンダーウエア製造の老舗である。映画『007 カジノ・ロワイヤル』では主演したイギリス人俳優のダニエル・クレイグが着て登場する、王室御用達の称号を有する一級品だ。ウェラーとの相性の良さも推して知るべしである。彼は自国の工場内で生地を選び、スケッチを描き、ロゴマークまで監修した。このカプセルコレクションに掛ける熱意の高さが伺える。昨年の20年には62歳にしてアルバム「On Sunset」をリリースし、全英チャート初登場1位の座を手にしたポール・ウェラー。老舗をパートナーにクリエイトしたファッションにおいても、その輝きは健在だ。
●問い合わせ先/サンスペル 表参道店
TEL:03-3406-7377 www.sunspel.jp