勲章授与式でもスーツに合わせた、ナイキの白いバスケットボールシューズ
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一イラスト:Naoki Shoji
【キース・へリング編】
キース・ヘリングがニューヨークの地下鉄や街中で作品を描いている写真が多く残されているが、ほとんどのシーンで彼が履いているのがスニーカーだ。1989年、モンテカルロにあるグレース王妃記念病院に壁画を寄贈したことから、モナコ公国から勲章を授与される。その式典に招かれた際にも、ジョルジオ ・アルマーニのスーツにナイキの白いバスケットボールシューズという格好で臨席したと『キース・ヘリング』(ジョン・グルーエン著 リブロポート刊)に書かれている。
彼が生きた1980〜90年代は、世界的なスニーカーブームが起き、しかもバスケットボールシューズに熱い注目が集まっていた時代だ。85年に発売された「エア ジョーダン 1」を始め、同年のロサンゼルスオリンピックに向けて開発されたアディダス 「フォーラム」、クラシックタイプではコンバース「オールスター」など、バスケットボールシューズでなおかつハイカットモデルを彼はこよなく愛した。
そんなキース愛用のバスケットボールシューズのなかの一足が、ナイキ「ブレーザー」だ。73年に同ブランドから初めて登場したバスケットボールシューズで、モデル名はナイキの本拠地であるオレゴン州ポートランドのNBAチーム「ポートランド・トレイルブレイザーズ」に由来する。今回紹介する「ブレーザー MID ’77 ビンテージ」は、ビンテージ風に仕上げたミッドソールを採用し、何年も履き古したようなレトロ感を演出したモデル。まさに彼が活躍した時代を思い起こすような名スニーカーではないか。
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