かつてハリウッドスターたちがこぞって着た、『ニューヨーク・ニューヨーク』のアロハシャツ
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一いまではフランク・シナトラがカバーしたバージョンの方が有名になってしまったが、「ニューヨーク・ニューヨーク」という曲はロバート・デ・ニーロとライザ・ミネリが共演した同名映画のためにつくられたものだ。
映画『ニューヨーク・ニューヨーク』が製作されたのは1977年。『タクシードライバー』と『ディア・ハンター』が製作されたちょうど間の年で、監督はデ・ニーロの相棒ともいうべきマーティン・スコセッシ。デ・ニーロの脂がのっていた時期の映画だ。この映画で彼が演じたのは、売れないサックス奏者のジミー・ドイル。この役柄を引き受けるにあたって、彼はベテランのジャズ奏者に師事し、プロレベルになるまで稽古したという。
この映画は第二次世界大戦の終戦に沸くニューヨークでライザ・ミネリ演じるフランシーヌと出会うところからスタートするが、このとき、彼は摩天楼が描かれたブルーのアロハシャツを着ていた。イラストレーターで映画にも詳しい斎藤融氏は「解放された気分にぴったりのアロハシャツ姿。ジャズマンらしいフルカット・トラウザーズに白茶のコンボス・シューズを合わせているのが印象的だった」(『QUALITIES PLUS Vol.2』)と書く。この映画は往年のハリウッドミュージカルへのオマージュを感じる作品であるが、アロハシャツも1930年代のハリウッドスターがこぞって着ていたアイテムだ。そういう意味でデ・ニーロはこのシャツを選んだのではないだろうか。
今回紹介するのは1930〜50年代のアロハシャツの黄金期につくられたアイテムを中心に展開する「サンサーフ」。これは1947年にハワイで創業した「ポイ・パウンダー・トッグ」社が製作していた柄を再現したアロハシャツ。熱帯魚やハイビスカス、アロハタワーが描かれた逸品。ゆったりとしたシルエットのパンツにこのアロハシャツを着こなせば、当時の雰囲気が味わえるだろう。
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