ビートルズ時代からどこまでも自然体、ジョン・レノンという気取らないスタイル
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一第3回 「ラングラー」のデニムジャケット
1940年10月9日、ジョン・レノンは英国のリバプールで生まれました。父は船員だったアルフレッド、母は映画館で働いていたジュリア。しかしジョンが生まれるとすぐに夫婦仲は悪化、少年時代のほとんどをジョンはジュリアの姉メアリー、通称ミミ伯母さんの家で過ごしました。
10代で音楽に目覚めたジョンは、故郷リバプールでポール・マッカートニーとジョージ・ハリソンに出会い、音楽活動を開始、その後、ザ・ビートルズを結成、最後に加わったリンゴ・スターとともに、『Love Me Do』(62年)で、メジャーデビューを果たします。ザ・ビートルズは社会現象とも言えるブームを世界中で巻き起こしますが、70年に解散してしまいました。
解散後、ジョンはソロ活動に入り、71年には『Imagine』(71年)を発表、音楽活動以外に平和運動などにも積極的に参加します。80年には『Double Fantasy』を発表、ワールドツアーも計画される中、悲劇が襲います。ニューヨークの自宅前で狂信的なファンの凶弾に倒れたのです。40歳という若さでした。
まさにレジェンド中のレジェンド。今回は、ジョン・レノンが愛用したアイテムを通して、ジョン流の気取らないスタイルを追います。
「僕たちは革のジャケットを着ていた。バンドの衣装というわけじゃなかったけど。もともと4人の誰かが着ていたんじゃないかな。結局それを着てステージに上がることになったんだ。それに、いつもジーンズをはいていた。当時はそれしかもっていなかったからね」
『ジョン・レノン120の言葉』(K.ローレンス編 刈芽由美訳)には、こんなジョンの言葉が掲載されています。そんな彼がよく着ていたのが、アメリカの老舗、ラングラーのデニムジャケットです。第1ボタンをわざと閉めて着たり、白のTシャツに合わせラフに着こなしたり。上下でデニムを着て、オノ・ヨーコ夫人と歩く写真がいまも残されています。
ラングラーはリーバイス、リーと並ぶ、アメリカの3大ジーンズブランドのひとつです。母体は1904年にノースカロライナ州で創業された、ブルーベル社。1940年代にラングラーがスタートしますが、当時ハリウッドで西部劇の衣装を手がけていたテーラー、ロデオ・ベンをデザイナーに起用したことで、ワークウエアでしかなかったジーンズにファッション性をもち込んだのがこのラングラーです。
ジョン愛用のデニムジャケットを彷彿させるモデルが「11MJ」です。前身頃の両側にプリーツが2本ずつ入り、背面の裾にシンチベルトまで付いたクラシックなデザイン。胸ポケットのステッチが、ブランド名の頭文字「W」を描いています。ジョン・レノンファンならずとも、一度袖を通してみたくなるデニムジャケットではありませんか。
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