映画「太陽がいっぱい」で見せた、貴公子アラン・ドロンのスマートな着こなし。
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一第3回 「PT05」のホワイトジーンズ
フランスの俳優、アラン・ドロンを一躍スターダムに押し上げた映画が1960年公開の『太陽がいっぱい』です。アメリカ人の女性小説家パトリシア・ハイスミスの原作をフランスの名匠ルネ・クレマンが監督した作品。風光明媚な南イタリアを舞台に友人を殺して完全犯罪を目論む青年リプリーを主人公にしたロマンティックなミステリー映画。主役であるアメリカ出身の青年を演じたのがアラン・ドロンです。“イタリアのアメリカ人”ではありませんが、ジャケット、ボタンダウンシャツ、ホワイトジーンズなど、アメリカ人好みのトラッドなアイテムを、ヨーロッパ流にコーディネートするその洒脱な着こなしは、いま観ても新鮮で、古びることはありません。ニーノ・ロータが作曲した哀しげなテーマ曲とともに、彼のスタイルは、多くの人の記憶に刻まれています。
アラン・ドロンが演じたリプリーは、設定ではアメリカ出身の青年です。だから着こなすアイテムはアメリカ的なものが選ばれています。
リプリーが映画の前半のほとんどのシーンで着用しているのが、ホワイトジーンズです。画面から判断すると、真っ白というよりはオフホワイトに見えます。オーソドックスな5ポケットのモデルで、シルエットは細身です。冒頭で、リプリーはこのジーンズにブルーの長袖ボタンダウンシャツを、足元には、ブラウンスエードのビットモカシンを組み合わせています。ソックスは履かずに、ジーンズもくるぶしが覗くくらい、短めに。どうですか。彼のスタイル、いまのメンズスタイルにも通じるものがあるのではないでしょうか。
リプリーが選んだホワイトジーンズに似ているモデルがイタリアの「PT05(ピーティーゼロチンクエ)」にありました。「SOUL」というモデルで、色は映画と同じくオフホワイト。シャープさを感じさせる美しいシルエットが特徴です。コットンにエラステンを混紡させたストレッチ性がある生地が、快適な穿き心地をもたらします。リプリーのように、カジュアルなシャツからジャケットまで似合う、洒落たジーンズと言えます。
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