映画「太陽がいっぱい」で見せた、貴公子アラン・ドロンのスマートな着こなし。
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一第2回 「ザノーネ」のポロシャツ
フランスの俳優、アラン・ドロンを一躍スターダムに押し上げた映画が1960年公開の『太陽がいっぱい』です。アメリカ人の女性小説家パトリシア・ハイスミスの原作をフランスの名匠ルネ・クレマンが監督した作品。風光明媚な南イタリアを舞台に友人を殺して完全犯罪を目論む青年リプリーを主人公にしたロマンティックなミステリー映画。主役であるアメリカ出身の青年を演じたのがアラン・ドロンです。“イタリアのアメリカ人”ではありませんが、ジャケット、ボタンダウンシャツ、ホワイトジーンズなど、アメリカ人好みのトラッドなアイテムを、ヨーロッパ流にコーディネートするその洒脱な着こなしは、いま観ても新鮮で、古びることはありません。ニーノ・ロータが作曲した哀しげなテーマ曲とともに、彼のスタイルは、多くの人の記憶に刻まれています。
ジャケット同様、リプリーはこの映画の中で多くのシャツを着ています。白や薄いブルーがほとんどで、素材はかなり薄手のコットンか、あるいはリネンなどのシャツを着ているようで、彼はいつも第2ボタンまで開けて着こなしています。映画は夏のリゾート地を舞台にしていているので、布帛のシャツではなく、ポロシャツを着ていないのかとチェックすると、彼がフィリップを殺した後、フィリップの恋人マルジュに会う時に着ていた白シャツの素材がどうもニット素材を使ったシャツに見えます。このシャツも第2ボタンまで開けて着こなしていますが、ジャケットに合わせた白のニットシャツがアラン・ドロンのダンディさをさらに際立てています。
「ザノーネ」は1987年、アルベルト・ザノーネによって創業されたイタリアのニットブランドです。現在は、「インコテックス」などとともに、スローウエアグループを牽引するブランドとしてイタリアだけでなく、日本でも人気を集めています。このポロシャツは、独自のアイスコットンを使ったモデルです。美しい襟の仕立て、前立てのないエレガントなデザインなどが特徴です。このポロシャツも上品で洗練されたその印象からジャケットなどを合わせる人が多いと聞きます。
リプリーがジャケットに合わせて着用した白のニットシャツをイメージさせるポロシャツではないでしょうか。
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