写真:宇田川 淳
Vol.68 お手本は軍モノのCPOシャツジャケット、2019年秋冬アウターの大本命はこれでキマり!
CPOジャケット(CPOシャツ)は定番のミリタリーウエアです。シンプルで活動的なこのアウターは、秋から初冬にかけての防寒に役立ちます。ただし同じ軍モノのMA-1やモッズコートと比べ、着ている人はまだ多くないようです。見た目がシャツなのに、アウター用途の厚い生地が使われボリュームがある、アイテムの定義づけがあいまいなのがその理由でしょう。ところがファッションアイテムのジャンルレス化が進むにつれ、にわかに注目を集めるようになりました。ダボッと着る着方の流行や、シャツが持つ上品さへの関心の高まりが、CPOジャケットを表舞台に引き上げたのです。一般女性からの人気も高く、数シーズン続く大きなトレンドになっています。
CPOとはアメリカ海軍下士官(Chief Petty Officer)のこと。彼らに支給されたシャツ型アウターがこの服です。その条件はまず、ピーコートのようなネイビーのウールメルトン生地であること。アンカー(錨)マーク入りの大きなボタンも海軍ならでは。着丈は短く、身幅も袖幅も大きく。さらにCPOジャケットらしさをもっとも物語るのが、両胸のボタンつきフラップポケット。このディテールがあるだけでCPOジャケットに見える最重要パーツです。
今年の秋冬はこのアウターをアレンジした服を着て、エッセンスを味わいましょう。最初に紹介するのは上写真の2着です。生地がヘビーコットンツイルに載せ換えられています。固くタフな生地が身幅の広いボディと噛み合って、独特のハリ感が出ています。真冬には中に厚手のセーターを着てボタン全開で羽織るのもいいでしょう。裾からはみ出た糸は、ビンテージスウェットシャツに多い縫製の始末の再現。縫製技術が稚拙だった時代への想いが表現された、長く着続けたい愛すべき服です。