写真:宇田川 淳
Vol.18 コーチジャケットこそ現代オトコの新定番アウター、 本気で選んだ大人向けの厳選3着 !
スポーツウェアをルーツにもつ服が、一般的なワードローブとして多くの人に着られるようになるには、定石といえる広まり方があるように思います。最初にスポーツ好き&新しモノ好きの若者が着目し、スケートボード遊びのときなどに身につけます。その後、彼らと関わるストリートブランドが、ファッション性を高めたオリジナルをつくり始めます。さらに、これらの動きをチェックするハイブランドが高級服に仕上げ、似たデザインの服が街中に溢れ返る、という流れです。今回クローズアップするコーチジャケットも、'90年代ストリートシーンで人気があったアウター。いま再びブレイクし、さまざまなブランドからリリースされているのも、'90年代スタイルの流行と無関係ではありません。でもこの服にはそれだけではない、新定番にふさわしい良さがたくさんあるのです。
コーチジャケットの名称は、スタジアムジャンパー(スタジャン)と同様の和製英語です。アメフトなどのスポーツシーンでコーチが着ていたことが由来という説が有力。運動用ではありませんから、むしろ低品質でチープなものが “ 本物 ”。素材はおもにペラッとしたナイロンで、フロントがスナップボタン、シャツ襟つきが基本形です。袖口はゴム入り仕様が多く、裾には幅を絞るドローコードがあります。裏地はメッシュか、起毛された保温性のある素材。この服はスポーツシーンでは風を防ぐ程度の機能があればいいのですから、サイドポケットも手の入れやすさを重視した簡単なつくりです。
シンプルだからこそ自在にアレンジでき、シックな印象にもなるのがコーチジャケットです。上の写真は、ストイックな作風でファッション関係者にも愛用者が多い「コモリ」の一着。売りは素材で、なんとシルクでできています。動物性繊維のシルクは保温性と通気性とを兼ね備え、人肌に馴染む機能的な素材。汗ばんでもムレにくく、いちど着ると手放せなくなるほど快適です。ハリのある生地を用いてスポーツのムードもキープしているのはさすがコモリ。一切の無駄がなく、大人こそが似合うアウターといえるでしょう。