写真:SHINMEI(SEPT)
Vol.09 いま欲しいのは、大人が清潔に着る黒革ライダース
この秋、服装の変化に敏感なショップスタッフたちの着こなしで、革のライダースジャケットが目につきます。ワイルドな男のシンボルだった過去はどこへやら、皆がクリーンに品良く身につけています。女性の間でより人気が高まっていることも注目すべきポイント。ふわっとしたフェミニンな服を脱ぎ捨て、シャープでメンズライクな服を着るようになった彼女たちのコーディネートの引き締め役として、大活躍しているのです。いまや男女共に、ワードローブに一着は欲しいアウターになりました。
ライダースが気になる背景には、'60〜'70年代前後のストリートスタイルがファッショントレンドとして続いていることがあります。MA-1、スカジャンが人気になり、次はライダース、というのは自然な流れです。穏やかなナチュラル服やノームコア的なリラックス感への反動もあるでしょう。金属のファスナーやスナップボタンと、高級感のある革が、服装に迫力や色気を添えてくれるのです。
革素材に関して、ズバリ旬、といえば茶系のスエードでしょうが、長く着るなら手入れも楽な黒の表革がお薦め。ここに掲載の一着は、ファッションブランド「ビューティフルピープル」の定番モデル。クセがなく着る人に馴染むオーセンティックさがあり、合わせる服装を選びません。袖付けや背中の工夫により、タイトな着心地でも動きやすく仕立てられています。設立当初からライダースをヒットさせてきた同ブランドならではの服づくりです。
革はバイク乗り用の屈強なものではなく、柔らかく加工された羊革。着込んで味が出るベジタブルタンニン鞣しによるものです。サイズレンジは、子供用の100cmから男性に合う190cmまで10cm刻みでなんと10タイプ(!)。「ノージェンダーライン」の服で、アーム幅が細く、肩も狭め。全体的にコンパクトですから、男性なら身長に合わせるより実際に着て確かめるほうがいいでしょう。
さて、今年らしい着こなしのコツとは?テーラードジャケットと同じ扱いをするのが良さそうです。タイドアップで白シャツにネクタイを絞めたり、Tシャツよりはモックネックやボトルネックのセーターにしたり。パンツはウールのスラックス、しかもタック入りで太幅のワイドパンツが東京スタイルといえます(世界のモード事情は次ページにて)。トップをタイトに短くして、ボトムは広く大きく。シューズはボリュームのあるパンツを支える、ややゴツめのブーツが似合います。
もう一つ、押さえておきたい装いの重要ポイントがあります。それは髪型への気配りです。大人が都会的に着るなら、ワックスでタイトに寝かしつけたり、クラシックなメガネを掛けるなどで、「ちゃんとした感」を意識しましょう。帽子で頭周りをすっきりとさせる手もあります。それだけでハードなライダースが、グッとスタイリッシュに見えてくるものです。