生粋のパリジャン・ファッションデザイナー、ジャンポール・ゴルチエ。彼のクリエイティビティをめぐるエキシビションが開催されます。1980~90年代のファッションシーンを風靡し、2000年代前半までパリコレデザイナーランキング1位だったゴルチエ。15年にプレタポルテ(既製服)ライン「ジャンポール・ゴルチエ」を廃止し、現在はオートクチュール(注文服)ライン「ゴルチエ パリ」と香水のみの展開なので、ここ数年日本ではあまり馴染みのないデザイナーかもしれません。
しかし、ふつふつとブームの予感です。今年4月のシュプリームとのコラボレーションも記憶に新しいところ。二次流通市場では過去のコレクションが高騰しています。これらの現象は、ラフ・シモンズやヘルムート・ラングなどの90年代ファッションがリバイバルしていることに加え、エイサップ・ロッキーやウィズ・カリファらカリスマヒップホップアーティストがゴルチエのヴィンテージサングラスを着用したことから始まったと考えられます。
ゴルチエの創作意欲は全く衰えておらず、2018年には自らの半生を原案とし、ファッションと舞台と音楽を融合したミュージカルショー「ファッション フリーク ショー」をパリで上演。もちろん衣装はすべてジャンポール・ゴルチエです。このショーは好評を博しワールドツアー中で、イタリアやイギリスなどを巡っています。過去にはミュージアムでのゴルチエ展が世界中を巡った例があります。彼がつくり出す洋服は観賞と相性がよく、マドンナやマリリン・マンソンのステージ衣装、『フィフス・エレメント』や『キカ』などの映画衣装を制作してきました。ゴルチエのクリエイションはただ生活で着るだけの服ではなく、ファッションの領域を広げるものではないでしょうか。
限られた人しか手にできないオートクチュールを間近に。
そんなゴルチエの世界を日本で気軽に垣間見られる企画展「エクスパンディング ファッション バイ ジャンポール・ゴルチエ」がカシヤマ ダイカンヤマで9月14日より始まります。
ゴルチエはその作風から「アヴァンギャルドの旗手」「アンファン・テリブル(フランス語で恐るべき子供の意)」と評されます。クラシックでありフューチャリスティック、セクシーでありエレガント、エスニックでありフォーマル。人種も性別も歴史も国境もテイストも乗り越え、すべてを違和感なくまとめて“ゴルチエ”として紡ぐ。それらはまるでファッションの坩堝のようです。いまのトレンドのひとつ、ダイバーシティを30年前から表現していました。
この天才を発掘し、サポートしたのが日本のアパレル企業オンワード樫山です。今回のエキシビションではオンワードホールディングス運営のカシヤマ ダイカンヤマがゴルチエに染まります。1階ギャラリーでは、オートクチュール「ゴルチエ パリ」から13体を展示。限られた人しか見られないオートクチュールの手の込んだ服を間近に見られる貴重な機会です。ステージでは「ファッション フリーク ショー」の特別編集映像を上映。
地下1階カフェはインテリアがゴルチエのシグネチャー、マリンボーダー柄に一変。一角には、ファッションフォトグラファーのジャン・バプティスト・モンディーノが撮影したゴルチエのキャンペーンビジュアルを展示。ゴルチエの世界観を引き出した濃厚でファンタスティックなビジュアルは必見です。
また、物販スペースである2・3階マーケットではゴルチエのアーカイブから16型を再生産し、限定販売。今展開催を記念したオリジナルクッション&トートバッグも発売されます。ファンには見逃せないトピックでしょう。稀代のファッションレジェンドの世界観を体験してみてはいかがでしょうか。
「エクスパンディング ファッション バイ ジャンポール・ゴルチエ」
開催期間:2019年9月14日(土)~10月13日(日)
開催場所:カシヤマ ダイカンヤマ
東京都渋谷区代官山町14-18
休館日:第1月曜(全館)、毎週月曜(4・5Fのみ)
開催時間:11時~20時