新登場のロシア製ダウンウエアは、北極探検家の娘がデザインする “本気の” クオリティ
デザイナーの名は、クセニア・チリンガロフ(以下、クセニア)。ロシアの英雄である極地探検家、アルトゥール・チリンガロフの愛娘だ。アルトゥールは、“ロシア連邦政府が授与する最高の名誉称号「ロシア連邦英雄」の栄誉に輝いた男”(『ナショナルジオグラフィック』 2009年5月号より抜粋)である。09年に歴史上初めて、北極点の海底にロシア国旗を立てる偉業を成し遂げた人物だ。
娘のクセニアは数多くの著作を上梓した父に影響されたのか、ジャーナリズムを学ぶ道に進んだ。しだいにファッションの面白さに目覚め、ロシア版『ヴォーグ』や『エル』のオンラインでコラムを書くようになる。そんな彼女は現在、ダウンウエアブランド「アークティック エクスプローラー」を共同設立し、デザインも手がけている。“アークティック” とは北極、“エクスプローラー” は探検家のことだ。極寒地に耐えうる機能性と、高いファッション性の両立を目指したブランドである。
クセニアが同ブランドを立ち上げたのは、ある出来事がきっかけだ。それは父親と一緒に北極に出掛けた時のこと。来日した彼女がそのエピソードを語った。
「着ていたのは無名ブランドの防寒服。実用性はありましたが、ファッション性の高いものではありませんでした。その時、高機能でお洒落なロシア製の防寒服がない事実に気づいたのです。そこで共同設立者を見つけて自国のブランドを設立することにしました。シンボルマークにしたのは砕氷船(さいひょうせん)です。海の氷を砕き、そのあとに続く船を先導する船です。私たちも道を切り開く存在になれるように、マークに願いを込めました」
どのような人にこのダウンウエアを着てほしいのだろうか。
「冒険心がある人。祖国や私の家族のレガシーに共感してくれる人だとより嬉しいですね」
くしくも現在、ロシア圏の地域で生まれた若いモードブランドたちが世界で注目されている。2013年にスタートしたアークティック エクスプローラーがいま、日本に本格上陸したのは格好のタイミングかもしれない。
彼女がイチ押しする都会向けのモデルは、この記事でも掲載している「チル(Chill)」。英語で “寒さ” の意味だが、まったりとする意味のチルアウトといったスラングでもよく使われる言葉だ。さらにクセニアいわく、
「私の名字もほら、チルですから」
耐水性があり、マイナス15度の気候にも耐えうる。裏地に2レイヤー生地を使うなど技術面は現代的でありつつ、外見の印象は親しみやすいアウトドアウエアだ。ワークやビンテージの服と相性のいいルックスである。野山の風景にも自然に馴染むだろう。アークティック エクスプローラーの登場で、この冬にダウンウエアを手に入れたい人に悩ましい選択肢がまたひとつ増えた。
問い合わせ先/ブルーウッド
TEL:03-5709-1098
www.arcticexplorer.ru