瀬戸内海のしまなみ海道沿いにある町、瀬戸田がいま賑やかだ。3月1日には、アマンリゾーツ創始者のエイドリアン・ゼッカ氏が手がける新しい旅館「Azumi Setoda」と銭湯やサウナを備えた旅籠「yubune」がオープン。そして4月10日には、地域の魅力を体験できる街のリビングルームとして「SOIL SETODA」が誕生した。
「Azumi Setoda」は、製塩業や海運業で財をなした豪商・掘内家の築140年の邸宅を受け継ぎ、改修・復元を施して現代的な趣の空間に蘇らせた旅館。計22室の客室と、庭園、東屋、ダイニング、ラウンジ、ギャラリーなどで構成される。建築デザインを監修するのは、伝統的な日本建築を主とする六角屋・三浦史朗。木、石、土といった自然の素材と、潮風や光、気候など土地の風土が調和する空間となっている。奥へ進むほどにパブリックとプライベートの境界が段々と変化していくのも特徴だ。食事には魚介類や柑橘類など地元の旬の食材をふんだんに使用。瀬戸田が海上交易の要所だったことから、ハーブやスパイスを取り入れたり、まるで掘内家が客人をもてなすような家庭料理や宴会料理を提供する。
旅館の向かいに別棟として立つ「yubune」は、銭湯とサウナ、湯上がりラウンジに加え、客室14室を用意。旅館の一部でありながら、旅人だけでなく、地元の人々にも幅広く開かれた施設で、双方の交流の場としての役割を担っている。銭湯壁画はミヤケマイ、玄関の暖簾は染司よしおかと、現代を代表するアーティストや職人が参画している点も注目だ。
Azumi Setoda
広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田269
TEL:0845-23-7911(代表)
Azumi Setoda:全22室、約¥65,000〜(税・サ別、銭湯入浴込み、朝食込み)
Yubune:全14室、約¥20,000〜(税・サ別、銭湯入浴込み、軽い朝食込み)
http://azumi.co
旅人と住民が同じ時間や体験を共有できる場所。
「SOIL SETODA」は、Azumi Setodaやyubuneが並ぶしおまち商店街の玄関口に誕生。江戸時代末期の豪商、三原家によって建てられた築140年の蔵をリノベーションした「SOIL SETODA KURA」と、その向かいに新築された「SOIL SETDA LIVING」で構成される複合施設だ。KURAには観光案内所の機能を有するアクティビティセンター、日本初出店となるポートランド発の「Overview Coffee」が、LIVINGには地元の農家や漁師から仕入れた新鮮な食材を使った薪火料理のレストラン「Minatoya」、気軽な滞在から中長期滞在まで可能なゲストルーム、誰もが自由に使えるラウンジスペースが入る。
旅館の持つ家庭的なおもてなしの心と、その土地に思いを馳せる体験こそが未来に求められる豊かさであるという考えのもとオープンしたAzumi Setoda。目指すのは“地域全体に賑やかな連携をもたらすような旅館”だ。SOIL SETODAもまた、地元の人々も日常的に利用する場をつくることで、旅人と地域住民の交流が生まれ、地域全体に人を通じた賑わいをもたらしたいという。心地よい潮風に穏やかな青い海、たわわに実るレモンや柑橘類、そして懐かしさの残る商店街。そんな土地の魅力をより存分に楽しめる新たな施設を、次のデスティネーションに定めてはどうだろう。
SOIL SETODA
SOIL SETODA LIVING
広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田257
SOIL SETODA KURA
広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田254-2
TEL:0845-25-6511(代表)
www.instagram.com/soil.setoda/