シーズン1を批判した人にも観てほしい『全裸監督 シーズン2』【ネタバレなし】レビュー
成長著しい動画配信サービス「Netflix」。古今東西の過去作品はもちろん、斬新なオリジナル作品を次々と生み出し、圧倒的な存在になりつつある。日本上陸は2015年とまだ日は浅いが、2020年の8月末時点で会員は500万人を突破。今後は東宝スタジオを複数年にわたって貸借し、日本オリジナル作品の量産体制に入る。
そのNetflix日本オリジナル作品で、異彩を放っているのが『全裸監督』だ。実在のAV監督・村西とおるの半生を追ったノンフィクション『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)を原作に、虚実織り交ぜて80年代(シーズン1)・90年代(シーズン2)のアダルトビデオ業界を描いていく。「地上波では描けない」過激なセリフや題材、描写がふんだんに盛り込まれており、また実際に起きた事件も絡んでいるため、2019年のシーズン1配信タイミングでは、賛否も含めた一大ムーブメントを呼び起こした。
そして、2021年6月24日には、シーズン2が配信開始された。シーズン1から続けて観た方は、かなり驚いたのではないだろうか。というのも本作、前シーズンと明確にテイストが異なっているのだ。端的に言えば、シーズン1は成功物語、シーズン2は転落物語。シーズン1の配信時に「犯罪者をヒロイックに描くとは何事か!」という批判が出たのは記憶に新しいが、本シーズンにおいては、主人公の村西とおる(山田孝之)が周囲の人間を巻き込み、破滅させていくさまを克明に描いている。
元々は『全裸監督』自体、ふたつでひとつの作品であり、シーズン1で“予兆”として存在していた主人公の危険な本性が描かれるわけだ。そういった意味では、シーズン2こそがこの作品の「本質」といえるかもしれない。Pen Onlineでは、『全裸監督 シーズン2』を【ネタバレあり】【ネタバレなし】の2本に分けて、紹介する。