今年はクリスマスツリーだって「サステイナブル」がトレンドだ。
ドイツの家庭では、クリスマスツリーといえば生木が人気だ。室内に置いておくと乾燥して葉が落ちるため、クリスマス直前に買うのが一般的だが、今年はコロナ禍で自宅にいる時間が増えているせいか、12月あたまにツリーを購入して早々に飾り付けを始めた家も多かったよう。売上げも例年並みの2000〜2200万本と予想されている。
しかし、この生のモミの木は、たいてい1月6日あたりまで飾られた後に廃棄されてしまう運命。ベルリンでは1月の第2週の回収日に家の前の通りに転がしておくと清掃局が回収していくシステムなのだが、街中に打ち捨てられたツリーの姿は哀愁が漂う。10年ほどかけて育ったモミの木がたった数日のために大量に伐採され、燃やされ、大量の二酸化炭素が排出されてしまうのだ。この「伝統」を変えるために始まったのが、サステイナブルなクリスマスツリーを届けるベルリンのスタートアップ「Wundertree」。オンラインで注文すると、植木鉢に植えられた“生きたまま“のクリスマスツリーが家まで届き、クリスマス期間が終わると家まで回収にきてくれるシステムだ。
回収後のツリーは、ベルリン中心部から35km離れたところにある森に植えられる。森にはモミの木だけでなく別の種類の木も植えられており、そうすることで森の多様性を保ち、生態系のシステムを強めていく仕組みだ。宅配はメルセデスの電動大型バン「eスプリンター」を使っているので、排出ガスもゼロ。今年はオンラインショッピングやデリバリーサービス事業が伸びたことも後押しとなり、Wundertreeのアイデアは大ヒット。用意した2000本のツリーは即売り切れた。来年は、ベルリン以外のドイツ5都市にも進出を予定しているという。「現状、サステイナブルなツリーは市場の2〜5%ほど。ゆくゆくはこれが新たな伝統になってくれれば」と、Wundertreeの創立者ふたりは語っている。
●Wundertree
https://wundertree.co/