19時になったら画面の前に集合! 名ピアニストによる...
BERLIN ベルリン

19時になったら画面の前に集合! 名ピアニストによる至福のライブ配信。【コロナと闘う世界の都市から】

文:河内秀子

大統領官邸に招かれての「自宅コンサート」に際しレヴィットが選んだ曲目は、ベートーヴェンのピアノソナタ第21番「ヴァルトシュタイン」。ツィッター配信の第1回目でも演奏した曲だ。「これは、人生が素晴らしいものだと肯定し、私たちを幸福にしてくれる最高の曲。私たちを抱きしめてくれるようです」とレヴィット。 (画像は大統領の公式インスタグラムより)

夜7時。いまドイツの音楽ファンは毎晩、この時間を楽しみにしている。ベルリン在住のピアニスト、イゴール ・レヴィットによる自宅コンサートが始まるからだ。レヴィットのツイッターアカウントからライブ配信アプリを通じて配信される約30分間の演奏には、毎晩ドイツ中、いや世界中からアクセスがあり、コメントや「いいね」のハートが飛び交う。イタリアの看護師から「あなたの音楽に救われている」というメッセージをもらったことも。

レヴィットがこのコンサート中継を始めたのは、ドイツで外出・接触制限措置が始まる10日前、2020年3月12日のことだったという。ベートーヴェン生誕250周年記念イヤーの今年は、予定がびっしり埋まっていたというが、3月に入ると次々とコンサートが中止や延期に。焦燥感に駆られたレヴィットは、自宅のピアノの前にカメラをセットして演奏を始めた。
4月3日には、ドイツ連邦大統領フランク=ヴァルター・シュタインマイヤーに招待され、官邸でコンサートを開催。その模様は大統領の公式インスタグラムアカウントから配信された。この官邸コンサートの映像は、レヴィットのYouTubeチャンネルにアーカイブがあり、視聴が可能だ。

大統領は言う。「彼は音楽の力を伝える、偉大な芸術家だ。芸術がどんなに重要か、そして音楽がどれだけ私たちを力づけてくれることか」。続けて、いま数多くの芸術家たちが活躍の場を失われ、サポートが必要な危機的状況なことを忘れてはいけないと語りかけた。「私自身も、みなさんと一緒にこのライブ配信をフォローします。この大変な時に、少しでもリラックスした時間をみなさんへ……」

世界中どこからでもアクセスできる、レヴィットの自宅コンサート。日本時間では深夜2時のスタートになるので少々遅いが、ぜひ世界中のファンとともに、この幸せな瞬間を共有してみてほしい。


※イゴール・レヴィット公式ツイッターはこちら、公式YouTubeチャンネルはこちら


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