大宮エリーが選ぶ、井上陽水楽曲のMY BEST 3──「少年時代」のまぼろし感は、私の思春期そのもの。

  • 文:丹野未雪
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1位.海へ来なさい (『スニーカーダンサー』収録)

2位.夢の中へ (シングル「夢の中へ」収録)

3位.少年時代 (『ハンサムボーイ』収録)


広告、舞台、絵画、エッセイなど、さまざまな分野で言葉とイメージに向き合う大宮エリーさん。10代の頃、斉藤由貴がカバーした井上陽水の名曲「夢の中へ」に共感したという。

 「明るそうで、実は明るくないですよね。谷川俊太郎さんの詩『二十億光年の孤独』に通じるものがあり、その頃の漠然とした不安感と、とても合っていた。十数年後、フェスで生の陽水さんが歌うのを聴いて、『はいつくばって探しても見つからないんだからいっそ踊っちゃえ』というメッセージの深さが理解できた。『海へ来なさい』は、まるで牧師が諭しているようで、縦書きにしてページをめくって読みたいですね」

また思い出の曲として「少年時代」を挙げる。

「昔好きだった人や幼馴染みのような不変の存在。尾瀬沼への林間学校の時に歌った曲で、夏草の青い匂いを思い出します。同時に、学校に居心地の悪さを感じ、心ここにあらずだった『まぼろし感』も甦る。私の思春期そのもの、テーマソングです」

大宮エリー●1975年、大阪府生まれ。広告代理店を経て独立。作家、脚本家、画家、映画監督、演出家、CMプランナーと多彩なジャンルで活動。著書に『生きるコント』、絵と詩で綴る絵本『虹のくじら』など。

こちらの記事は、Pen 2020年5月1・15日合併号「【完全保存版】井上陽水が聴きたくて。」特集からの抜粋です。