1位.白いカーネーション (『陽水II センチメンタル』収録)
2位.長い坂の絵のフレーム (『九段』収録)
3位.東へ西へ (『陽水II センチメンタル』収録)
YUKIや私立恵比寿中学への楽曲提供などでも注目を集める、吉澤嘉代子さん。井上陽水を音楽的ルーツとする彼女だが、そのきっかけは陽水ファンの父だったという。
「クルマの中で流れている音楽が、陽水さんか父が歌う陽水さんっていう英才教育を受けまして(笑)。最も古い歌唱の記憶は父と歌った『白いカーネーション』です」
生粋の陽水リスナーである吉澤さんが最も好きな歌詞は、「長い坂の絵のフレーム」だ。
「子どもの頃に聴いて、《時々はデパートで孤独な人のふりをして》《生まれつき僕たちは悩み上手に出来ている》という詞に人間の滑稽さを感じて。長く険しい人生も、フレームで捉えてみると軽くなるような、ちっぽけなものに感じられたんです」
自発的に陽水の楽曲を求めるようになったのは「東へ西へ」だと語る。
「《床にたおれた老婆が笑う》というフレーズにドキリとして。不気味でタブーが描かれているような感覚。陽水さんの詞には冷ややかな視線があって、非人間的でありつつ人間ぽいなと思えて惹かれます。陽水さんの魔法みたいな不思議な迫力がある歌声には、歌詞の独特さ、おかしみや突飛な描写を納得させる力があると思うんです」
こちらの記事は、Pen 2020年5月1・15日合併号「【完全保存版】井上陽水が聴きたくて。」特集からの抜粋です。