ラース・フォン・トリアー最新映画、『ニンフォマニアック』(=色情狂)が衝撃的過ぎる。
ともすれば、生々しく、グロテスクで、反社会的にもなりうるこのテーマ。それを、ラース・フォン・トリアー監督は、何と、「魚を釣る方法」「バッハの音楽理論」「東方教会と西方教会」など、世の中の、正しく、美しく、ときに優美なものたちに落としこみ、説明してしまうのです。そのさまは、実に滑稽で、ニヤリと笑うのをこらえることができません。男たちには知りえない女性の色情という禁断の世界を、まるで「初心者向けガイドブック」のようにチャプターで区切り、下半身がうずくような官能的シーンをはさんで観客を喜ばせつつ、丁寧に理解へと導いてゆくそのテクニックは“さすが”です。
主役となる少女は、幼少期、青年期、そして成熟期と、段階を経て、演者が交代していくのですが、なんと、最後の成熟期を演じるのは、かのシャルロット・ゲンズブールです。近年まれにみるほどの、衝撃的で、モダンで、挑戦的で、スタイリッシュで、そしてインタラクチャルな映画です。見ない理由はありません。さぁ、禁断の書のページをめくってください。(Pen編集部)
-
© 2013 ZENTROPA ENTERTAINMENTS31 APS, ZENTROPA INTERNATIONAL KÖLN, SLOT MACHINE, ZENTROPA INTERNATIONAL FRANCE, CAVIAR, ZENBELGIE, ARTE FRANCE CINÉMA
『ニンフォマニアック』
監督・脚本:ラース・フォン・トリアー
出演:シャルロット・ゲンズブール
2013年 デンマーク・ドイツ・フランス・ベルギー・イギリス映画 1時間57分(Vol.1)、2時間3分(Vol.2)
配給:ブロードメディア・スタジオ
Vo.1は10月11日(土)から、Vol.2は11月1日(土)から、新宿武蔵野館、ヒューマントラスト シネマ有楽町・渋谷ほか全国で順次ロードショー
www.nymphomaniac.jp