新しい茶道文化の入り口となる、奈良の「茶論」へ美意識を磨きに出かけませんか?

新しい茶道文化の入り口となる、奈良の「茶論」へ美意識を磨きに出かけませんか?

写真:福森クニヒロ 文:小長谷奈都子

奈良・元林院の「遊 中川」本店の奥にオープンした「茶論」。写真は日本庭園を望む和室の喫茶スペースで、襖絵は江戸時代末期の画家で鹿の名手として名高い内藤其淵の手によるもの。

「茶道」に対して、どんなイメージをもっていますか? 敷居が高い、厳格な稽古、長時間の正座……。そういった固定概念を軽やかに覆し、新しい茶道文化の入り口となる場が、奈良に誕生しました。

その名は「茶論(さろん)」。中川政七商店のグループ会社である道艸舎が手がける新ブランドです。そもそも中川政七商店は、詫茶(わびちゃ)の祖とされる、村田珠光の出生地・奈良で創業し、千利休が茶巾として愛した奈良晒(ならざらし)で商いを始め、いまでは茶道具全般も扱うなど、茶道と深いつながりをもつ会社。

「雑誌の特集などをきっかけにお茶に興味を持った人たちが行ける場所、使える道具をつくりたかった。ここを入り口として、茶道文化の奥深さや楽しさを感じ、暮らしの中にお茶を取り入れていただきたい」。代表取締役社長であり、中川政七商店の13代中川政七さんは語ります。

「茶論」を構成するのは、心、型、知をバランスよく学ぶ「稽古」、おいしいお茶と和菓子をいただく「喫茶」、そしてオリジナルの茶道具を展開する「見世」という3つの場。稽古は畳ではなくテーブルで行い、師匠ではなく講師がスクリーンを使いながら説明し、喫茶では茶会にならったコースを用意したり、濃茶や苦味と甘みのバランスが異なる3種のお茶を選べるなど、ニュートラルで現代に即したスタイルながら、しっかりと本質に迫るアプローチが特徴です。

「茶論」のブランドディレクターを務めるのは、雑誌Penの連載「利休によろしく」でもおなじみの茶人・木村宗慎さん。さらに、クリエイティブディレクションはgood design companyの水野学さん、「茶道具箱」のプロダクトデザインはPRODUCT DESIGN CENTERの鈴木啓太さんなど、注目のクリエイターが脇を固めます。

4月24日に誕生した奈良町店に次いで、9月には東京・日本橋にもオープン予定。お茶に興味がある人もそうでない人も、「茶論」を訪れて、数百年受け継がれてきた深遠なる世界への扉を開けてみませんか?


「遊 中川」本店と空間を分かつのが大きな奈良晒の暖簾。ロゴ「茶論」は、日本に喫茶を広めた栄西の『喫茶養生記』をモチーフに、水野学氏がデザイン。ブランド名はコンセプトの「以茶論美(茶を以て美を論ず)」にちなんだもの。

暖簾の奥が喫茶スペースのテーブル席。剥き出しの大きな梁が印象的な空間。

喫茶スペースでいただく生菓子は、奈良を代表する名店、樫舎から。濃茶と薄茶、玉露、煎茶、焙じ茶から好きなお茶を選ぶ「季節の主菓子とお茶のセット」¥1,404〜¥2,700(税込)

抹茶は京都の丸久小山園に特注したオリジナルの濃茶と薄茶3種を用意。樫舎にオーダーした「くずやき団子」「白玉あんみつ」のいずれかとお茶のセット「甘味とお茶のセット」¥1,728〜¥3,024(税込)

稽古が行われる部屋がこちら。テーブルに掘りごたつで、スクリーンを見ながら説明を受けます。少人数制で、自分の興味に合わせてコースを選べるシステム。稽古の詳細はHPをチェックして。

オリジナルの「茶道具箱」をデザインしたのは、プロダクトデザイナーの鈴木啓太氏。お点前に必要な道具がすべて収まる、美しいデザイン。箱と道具はすべて別売りで、蓋の形や塗りも数種から選べます。

オリジナルの茶道具は「遊 中川」本店内にディスプレイ。数寄屋袋や懐紙入れは、手織り麻を使ったもので、中にはアーカイブの生地も。数寄屋袋¥7,560〜、懐紙入れ小¥2,700、大¥3,240〜(すべて税込)

茶論 奈良町店

奈良県奈良市元林院町31-1(「遊 中川 本店」奥)
TEL:0742-93-8833
営業時間:10時~18時30分(お稽古) 10時~18時L.O.(喫茶・見世)
定休日:第2火曜    ※祝日の場合は翌水曜休
https://salon-tea.jp

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